「そのときすでに腹膜播種で腹水がたまっていて、『これは手がつけられません』ということで、お腹も大きいまま抗がん剤の治療に入りました。
いちばん最初の抗がん剤のときはさすがに吐き気とかはありました。けれど外来で抗がん剤をするようになってから多少吐き気はありましたけれども、特に物凄い副作用というのはなかったですね。
幸い抗がん剤がよく効いて、腹水が少し減ったのですね。腹水が減ったので、『お腹が切れます。お腹大きいままでは困りますでしょう』ということで、QOLを少しよくするために7月の夏休みに入ってすぐに卵巣を取りました。
そのときに『とりあえずお腹は開けますけど、原発には手をつけません』と先生から念を押されました。開けるついでに取ってしまえばいいのにと思いましたが、原発をとるには抗がん剤の休薬期間をおかなければならなかったのです。その休薬期間をおくリスクが先生は『僕はとても怖くてとれない』と言われたので、もう卵巣を取るだけにしました。原発のほうは抗がん剤の効きがたまたまよかったので、もう少しそれをちゃんと効かせたほうがいいということで、原発にはいっさい手を付けず、手術は卵巣を取っただけでおしまいにしました。
QOLという意味では卵巣をとってすっきりして、普通に動けるようになりました。お腹が大きくなってしまっていたときは、苦しくて食べられない、腰が痛いということもありましたから、そういう意味ではすごく楽になりました。卵巣を取ってしまったので、急に汗がすごくでるとか体がほてるという更年期障害の症状が出ることを自分で覚悟はしていたのですが、特にそういう症状はなかったです。」
「抗がん剤治療は普通、何クールとかあるじゃないですか。そういうのはなくて、2週に1度の抗がん剤を延々と続けるみたいな感じでした。いつまででおしまいというのはなく、とりあえずできる限り続けましょうという格好で続けていました。それで、オキサリプラチンの副作用で手足のしびれがすごく出てしまったのです。それでオキサリプラチンは少しお休みして様子をみていました。1種類減らしたせいかどうかはわからないですが、12月くらいに肺の転移が見つかり、急遽、アバスチンをやってみましょうということで、オキサリプラチンを止めてアバスチンに変えました。アバスチンも2007年から使えるようになり確か認可が下りたばかりの薬で、済生会病院では使っている方がまだ10人にいっていないような数でした。様子をみながらという感じでやっていましたけど、おかげさまでアバスチンもよく効いたみたいで、肺の転移は2月の時点ではもう見えなくなっていました。経過がよければ、原発の手術も考えましょうという話は、済生会の先生としていました。」