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堀口 博 さん
(ほりぐち・ひろし)
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1933年神田生まれ。洋食屋店主。1997年に区民検診で血便が見つかり、近くの病院で大腸内視鏡検査を受けたところ、大腸がんが見つかる。近所の大学病院を紹介され同年5月末にS状結腸切除術(+リンパ節郭清)を受ける。退院した翌日から厨房に立つ。病院に指導された食事療法を守り、無理をしない生活を心がけている。
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3先生に言われたこと

「先生には『リンパも取ったからもう大丈夫。あとはあなたの養生次第だから、言われたことをやってくれれば、良くなることもある。ちゃんと言うことを聞いてやってくれたら、私はあなたの生命を20年間保証してもいい』言われました。そのくらい自信を持って言われたのですよね。励ましかどうかはわからないすけど。ですから、それを信じるしかないのです。私はその言葉を信じて、20年間は絶対に大丈夫、家も建てる予定で、商売もあるから、20年は最低生きなければいけないと思いました。そうするとだいたい80歳を過ぎておふくろの年になり、あと5年ぐらい生きれば親父の年だ、という目標をもって、これから生活していこうと思いました。

ですから退院するときは、先生にこんこんと言われました。『無理をしちゃいけない。結局自分の体は自分にしかわからないのだから、できる範囲でしかやってはいけないよ』と。うちの商売が洋食屋で、力仕事、立ち仕事ですから、それを『自分の体に合わせるようにセーブしながらやってください。あなたひとりがやっているわけではないだろうから、周りの人に協力してもらってやってください』ということだと思います。それと週1回、2週間に1回、1ヵ月に1回・・・とだんだん延びていくのですが、『私が言うようにその回数どおりに必ず検診に来てください』と言われました。『一度でも抜けると、あとは責任もてないよ。そのぐらいあなたの体を僕らは責任をもってやっているのだから、あなたも責任をもって自分の体を管理してください』と言われました。」

●食事療法

「退院するときはちゃんと食事療法について教えてくれました。腸が動かないとダメなのですが、『腸の傷口がまだちゃんと動いていないので、ごぼうやコンニャクなど、あまり繊維質の強いものは避けて』と言われました。あと『お魚の白身はすったり、みじん切りにして』。コックですから、いくらでもできます。『塩気を極力抑えて、レモンで味付けしてなるべく食べるように』『マヨネーズなんてとんでもない話』で『あんなに脂っこいものはいけない』と。確かに病院の食事に出ないのですよね。ですから、『そういうものを食べてくれればいいのですよ』と指導されました。

まあ、面倒くさいですけどね。でも言われたとおりに、約2〜3ヵ月は毎日、3分から5分のおかゆで、白身のお魚をほんの一切れ。僕はおしんこが好きなのですけど、塩気が強くてだめだというのでがまんして、あとは人参とか里芋とか野菜を煮物にして、本当に柔らかくして食べていました。そうしたお陰でこの今があるのではないかという気がします。」