3緩和ケアとは
「簡単に言いますと『苦痛を取るためのケア』と言えると思うんです。ただその苦痛というもののなかに、身体的な苦痛、精神的な苦痛、社会的な苦痛があります。そういったものをトータルに苦痛とわれわれは考えており、それらすべてをケアの対象とする、そういう医療を『緩和ケア』と呼んでいるわけです。」
Q. 日本では緩和ケアが十分に行われていますか?
「(日本は)緩和ケアに移行してくる時期が非常に遅いと思うのです。今でもそういう状況が続いていて、もっと早くから、がんという診断がついた時から、緩和ケアの専門医が治療チームのなかに加われるような、そういう時代が本当に来ればいいなと思います。」
Q. なぜ日本では緩和ケアが遅れているのでしょうか?
「それもういろいろな理由があると考えられるのですが、ひとつは医療用麻薬を使用するための知識を学ぶ機会が、医療者、特に医師という立場で非常に少ない、というか限られているといった環境にあり、(医療用麻薬の)使い方を詳しく知らないということだと思います。」 「医療者だけが今後、勉強して麻薬の使い方を学んでいくということではなくて、それを受ける患者さんのほうも、麻薬というのはどういう薬でどういうふうに利用したらQOL(生活の質)が上がるのかということを知っていく必要があると思います。」