4緩和ケアは特別な医療ではない
Q. 岩瀬さんが、緩和ケアを始めた理由は何ですか?
「それは私にとっては非常に自然なことで、外科治療をしていた時も放射線治療をしていた時も、患者さんに苦痛は必ず伴いますから、特にその緩和ケアということを意識してやってきたのではないのです。ですから科学的な治療と同時にその苦痛を取ることを追求していった時に、自然に緩和ケアの道に入っていったのです。非常に自然なことで、緩和ケアは特別な医療ではないというふうに考えています。」
Q. なぜ、がん治療の初期から緩和ケアが必要なのでしょうか?
「痛みというのは、がんの初期からもちろんあるわけではなくて、緩和ケアが初期から必要だと言われているところは、実はその精神的なものとか社会的なもののほうが、割合が大きいのです。痛みは皆さんが感覚として理解されているように、やっぱりがんが進行した時のほうがよく出るし、最初からの痛みというのは手術の痛みとか、治療の副作用としての痛みというのはあるのですが、がんそのものの痛みというのは、進んでから起こるものなのです。ただその中には小さな転移でも大きな痛みにつながることもあって、いかに早く痛みのコントロールを、早い段階から医療者、専門家が関与できるかというところがポイントです。緩和ケアは、痛みのことがすごくクローズアップされていますが、その痛みは身体だけの痛みを意味していなくて、精神的なものや社会的なものをわれわれはトータルペインと言いますが、そういう痛みを緩和するのが緩和ケアということです。」