「違う病院での経験ですが、手術の雰囲気というのはなんとなくわかっていたので、それほどドキドキはしなかったです。麻酔がだんだん効いてきて、目を開けようと思っても開かなくなり、喋りたいのに喋れなくなり、耳だけが最後まですごくよく聞こえました。先生に『私、変です、変です』と訴えたくても訴えられず、『えっ、このまま死んじゃうの?』という感じでした。手術が終わって名前を呼ばれて2回ほど返事したのを覚えています。
次第に意識がハッキリしてきたときに、手術で切ったところが痛くなり、看護師さんに『痛かったら呼んでください』と言われていたので、1回看護師さんを呼びました。そのときは痛み止めを点滴で入れてもらい、そのあとは点滴をしなくても大丈夫でした。
術後2日で退院でした。退院してから10日後に病理検査の結果を聞きに行くと、先生がパソコンに私の年齢、腫瘍の大きさ、悪性度などいろいろな病理検査の結果を入れて、『まぁ、リスク的には中リスクで、絶対に抗がん剤をやらなくてはいけないというわけではないけれど、いちおう抗がん剤という方法もあります』と言われました。それで『今すぐ抗がん剤をやるかどうか返事するのですか?』と聞くと、『次の診療日までに考えてきてください』と言われました。」
「結局、先のことは誰にもわかりませんよね。抗がん剤治療を受けて、絶対に再発・転移しないのなら誰でも受けると思うのです。だけど、受けても再発する人は再発するし、受けなくても再発しない人はしないので、それはもうきっと神様しかわからないと思ったのです。今はまだ再発や特定の症状があるわけではないので、こんなことが言えるのかもしれません。でも、たとえあとで再発・転移がわかっても、自分で納得して抗がん剤までやっていれば、『やったけどダメだった』と思えると思ったのです。でももし受けていなかったら、再発したときに『やはりあのとき抗がん剤治療を受けておけばよかった』と後悔して、結局、時間を元には戻せないので、やはり受けようと思いました。それはやはり、人間ドックや乳がん検診を全然受けていなかったので、その後悔も少しあり、とりあえずできることはなんでもやってみようと思い、決心しました。」