「薬について、例えば飲みたくないとか、昨日は飲まなかったとか、そういったようなことがあった時に、わりと隠される方が多いように思うんですね。それはこれまでの経験に基づいていて、例えば飲まなかったと言ったら、直ちに入院をさせられてしまうんじゃないかとか、嫌な思いをされたこともあるので、医療関係者には隠すというようなことがあるように思うのですが。
私ども、服薬の不調が起こるというのは、当事者の方の問題というよりはむしろ処方に問題があるというふうに思います。例えば、この薬を飲んだらすごく身体的に不快な症状が起こった。例えば、便秘とか下痢とかはもちろんですけれども、女性の方ですと生理が止まってしまったとか、男性の方ですと性機能障害になったとか、いろんなことがあるんですね。そういう気になることがあるから飲まれないのだと思うので、その時に、直ちに、医療関係者に言ったらろくなことがないというふうに思われないで、『こういう不都合があります』と具体的に言っていただくということが大事です。そうしましたら主治医だって、処方の内容をもちろんお考えになると思いますし、私どもが、主治医との間で直ちにそれをなかなか言いにくければ、一緒に言い方を考えたり、私どもがお伝えすることもできます。
不都合をご自分のせいにしたり、あるいは薬は全部ダメとかにしないで、いっぱい選ぶ選択肢があるので、まず、ご相談いただくことが、いちばんかなぁと思っています。ただ、やっぱりそれを言ったために、すごく嫌な思いをされたという経験もある方が多くて、それは私どもの責任でもあると思うのですが、今、ずいぶん薬物療法についても良くなってきていますし、考え方も変わっていますので、ぜひご相談いただきたいなと思います。」
「今は入院中に服薬自己管理の練習をする病院が増えていまして、そういうところでは服薬カレンダー、だいたい精神科のお薬は、朝・昼・晩・寝る前と4回が多いのですけど、朝はお日様のマークでお昼は何かのマークでというふうにポケットになっていて。精神科のお薬は、5種類の方が多いので、薬局で1回ごとに分包をしてくださる場合もありますが、ご自分で、それをポケットに入れて、内科のお薬も一緒にあるので忘れないようにしたり…。
ただし、人によって、ポケットがいい人もいれば、病院で貰った薬の袋で朝昼晩を区別されて、『あと残りがいくつ?』とされるのがいい方もいらっしゃるので、最初の頃に、いろいろやってみて、一緒に『これはちょっと嫌だったね』とか、『こうふうに今度しましょうか?』とか、私達もいろいろバラエティーを持っていますので、そのへんも一緒に考えられるかなぁと思います。」