統合失調症と向き合う

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藤井康男さん
萱間真美さん
(かやま まみ)
聖路加看護大学精神科看護教授
1986年聖路加看護大学卒業。質的研究方法を用いて、ケア技術やさまざまな状況にあるケア対象者の主観的体験に関する多くの研究に参画している。精神障害者の退院促進および地域ケアを支えるサービス提供のあり方、精神科訪問看護の実態と効果なども研究。
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13メッセージ
Q.統合失調症の方へのメッセージをお願いします

「今、病院で言われていることは、統合失調症の方で退院したいというお気持ちをお持ちの方はもう既に退院をどんどんされていますが、今、入院していらっしゃる方に『退院したいですか?』というふうにお聞きすると、『いや、なんかあんまりしたくない』とか、『なんか、退院してもどうなるのか分からないから』とおっしゃる方が多いというふうに言われています。たぶん、これまで入院して退院して、生活していく中ですごく困難があったような方達は、やっぱり楽しいイメージが持てなかったりとか、そういうことも多いのかなぁというふうに思うんですね。

ですが、今は昔とすごくケアが変わっていまして、地域でも必要なサポートは受けられるようになっています。それで声を出していただければ、社会資源のほんとに多くのものが動くようになってきていますので、ぜひ、まず体験をしていただいて楽しみを見つけていただいて、『自分はこれが楽しいから、地域でそれをやりたい』というふうに言っていただきたいなと(思います)。

私達は、今まではもしかしたら、『そんなの無理ですよ』と言ってしまっていたのかもしれないのですが、今はほんとに選択肢が増えて、一緒に考えられるようになったので、今までもし嫌な思いをされたとしても、そうじゃない可能性があるので、一緒に踏み出すということをしていただけると嬉しいかなぁというふうに思っています。

それから、スタッフを育てていただかないといけないので、例えば、『こういう言い方は嫌だ』とか、『訪問の時に、こういうふうな来方は嫌なんだ』とか、『家の中でこういう振る舞いをされるのは困る』というようなことを言っていただく。その言い方とか言われ方とかは、私達もいろいろあると思うのですけれども、『あぁ、そうなんですね。じゃあ、こういうふうにしましょうね』とすればいいだけのことなので、スタッフも育てていただきたいなというふうに思っています。」

Q.ご家族へのメッセージをお願いします

「私がこれまでお目にかかってきたご家族の方は、もちろん訪問看護を受け入れてくださっている方なので、どちらかというと、(自宅に)入られるのが嫌だというよりも、すごく多くを期待してくださっている。それで私達は、それを全部解決できるわけではないので、ご家族の強い気持ちを伺って、『どうしましょうねえ?』と、本当に一緒に考えたりとか、一緒に辛くなったりすることもあったというイメージだったんですけれども。

ご本人との間で直接言いにくくても第三者が入れば、一緒に言えたりとか、ご本人との間で解決できなくても、家族会のようなところに行かれて、家族同士だったら話せたりとかそういう場を広げていくということがすごく大事だと思います。

お家の中で苦しくなるのは、お家の中でお互いに求め過ぎてしまって、それが満たされないので、葛藤が起こるということがあると思うんですけど、訪問看護もそれに一緒になってしまったらあんまり意味がないというか、どちらかというと、外に広がっていくというか辛さを分かってくれる人、助けてくれる人を広げていく方向で関わっていくことになると思います。なので、訪問看護だけに、何かをすごく期待してダメだったというふうになるのではなくて、訪問看護もその1つで、『私達がほしいケアというのはこういうものなんだ』ということを言っていただいて、一緒に考えてまた見つけるというふうなことをさせていただけるように、私達も努力しますが、一緒に求めていっていただけると…。

それから、行政・政治に対しても、やっぱり発言していっていただく。今までは、『言っても無駄』という時間が長かったので、ご家族の方も『どうかなぁ』というの(思い)があるかと思うんですが、今は、おっしゃっていただければ、ずいぶん変わるようになってきましたので、一緒に声を出していくことが大事かなぁと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。」

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