統合失調症と向き合う

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しなちゃん
石津 彰之さん
(いしづ・あきゆき)
1981年(昭和56年)生まれ、27歳。22歳で入院、治療。現在はクラブハウス「ForUsフォーラス」 のメンバーで、地域の講演会、家族相談会などで話す機会が多くなり、クラブハウスのWRAP(ラップ)のファシリテーターとしても活動中。通院は月に1回。
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5社会復帰を目指して
●ACT(アクト)に参加

「退院する前に、ACT(アクト;Assertive Community Treatment包括的地域生活支援プログラム)を利用してたんですけど、利用者として。で、作業所を見つけてくれたんですね、そのスタッフが。作業所に3年通っていて、実家の近くの作業所を紹介してくれて、で、そこの作業所で、コミュニケーション講座とかSST(Social Skill Training社会生活技能訓練)といったプログラムとか、あとメンバーとスタッフと一緒に、例えばお花見行くとかそういうことをやってくれたりしてました。

ACT(アクト)っていうのは、一応、包括型支援プログラムで、就労支援サービスと日常生活の訪問介護とか。社会復帰みたいな感じで一応目標にして、引きこもりとかもなるべくやめて、できれば外出するように心がけるって感じで。それで、1回実は就労担当の人が、ACT(アクト)にもいて、そのときに、アルバイトの話をしてくれて、アルバイトを3か月したんですよ。長続きしなかったのが、ま、現実で。それでACT(アクト)の人と話したときに、今度一人暮らしやってみないかっていう話になって、で、親も納得してたし、ACT(アクト)の人も納得してるし、主治医も納得してくれたので、一人暮らしを2年間、今度3年目になるんですけど、始めてみました。アパートですけど。」

ACT(Assertive Community Treatment:包括的地域生活支援プログラム:生活の場での支援を目標に医師や看護師、ソーシャルワーカーなど他職種が包括的に支援に携わるプログラムである。アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなどで普及したあと、2003年から国内いくつかの地域で試行的に行われている。
SST(Social Skill Training:社会生活技能訓練):日常生活を送る上で必要なスキル、中でも、挨拶や交渉などさまざまな対人技能に関してのスキル獲得を目的とした援助のことである。

●1人暮らしを始める

「うちの両親も交渉に入ったときにそういう話をなんかしたらしく、まあ、(アパートには)入りやすかったのかな。そのときは、そのアパートが空いてたっていうのもラッキーなことで、で、病院の近くにあったわけで、そういう意味で両親やACT(アクト)に関しては感謝していますね。

そーですね、一人暮らしは、最初はちょっとやっぱ孤立感みたいなのがあって、やりにくかったという状態があったんですけど、でも、例えば食事の準備だとか洗濯だとか、ま、汚いときもあるんですけど、(部屋が)もう震災のような状態のときもあるんですけど、ヘルパーさんも頼んでないんですけど、実は、身支度が自分で自分のことはできるっていうそういうなんか当たり前のことができるようになったっていうのは、病気になってからだから何とも言えないけど、大人としての生活ができたのかなーと思いましたね。でも、やっぱり、近所との関係はちょっとめんどくさかったですね。はい。それはちょっと疲れますね。あと大家さんも病気のことを知ってくれて、意外と関係が良かったりとかして、ま、そういう面では一人暮らしのほうが、その日常生活の満足度は高いのかなって思いますね。」

●1人暮らしで困ること

「実は救急が必要なときがあって、そのときは119番でいいのか、国府台(病院)でいいのかって一瞬カーって考えてたんだけど、そのときACT(アクト)を利用していたからACT(アクト)でいいのかなとかって考えてたんだけど、その救急の対応のしかたがちょっとまだ全然NGというか、勉強不足でした。あの…救急のときは一人暮らしってすっごいたいへんですから。

救急のときは、とりあえず自分の行っている病院にまず電話をかけて、その精神科の当直の先生に指示を仰いで、それで、病院行きますか、それとも薬でみて休みますかっていうふうにして、心落ち着かせる。あと深呼吸するのが一番いいと言われたときもありました。病院に入院させないで家で回復させるみたいな、そういう処置だったんだろうなと、今、一瞬思ったんですけど。」

●生活保護と障害者年金で生活費をカバー

「今は、生活保護を受けていて、障害者年金っていうのも実は受給してて、それとなにかで行ったときの謝礼金とか、そういうちょっとした収入と。アパートとかの家賃は、生活保護をもらっています。障害者手帳は2級も持っています。

ACT(アクト)を辞めたのが1年前で、その作業療法も最近やめたから、今、活動拠点っていうのがフォーラスとかWRAP(ラップ)の活動とかなので、そういう意味では、まあ、良いほうになったのかなという感じ、数字的に言えば2、3年前から良くなってきました。フォーラスとかWRAP(ラップ)とかに関わってきて、その、医療の話がすごく分かってきて、効果的になってきたような感じがするって思っています。」

生活保護:病気やけがで収入がない、もしくは収入が不十分なときに、最低限度の生活を保障する制度。年金やその他の経済支援で利用できものがあればそれを優先して利用し、それでも不足する分を生活保護で受給する。
障害年金:病気やけがなどによって、一定程度の障害の状態になった人に対して支給される年金のこと。障害の程度に応じて支払われる金額が異なる。
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