統合失調症と向き合う

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Y.F.さん
Y.F.さん
1945年(昭和20年)生まれ、69歳(収録時)。2週間に1度通院している。両親亡きあとは一人暮らしをしており、現在は、病院の売店の仕事やピアサポート活動、当事者の会を運営するなど、充実した毎日を送っている。短期間であるが禅宗のお寺で修行した経験があり、現在のこころの支えとなっている。
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2精神科受診の経緯
Q.精神科を受診した時に出た症状を教えてください

「いやあ、いきなり精神病院です。症状ねえ…、その前に大学3年になって、友だちとうまいこといかんのでいろいろ考えたんです。いろいろ考えて…、3つほど考えました。生産理論とかね、主体性理論とかそんなん考えました。これ考えて、『俺はノーベル賞もらえる』と思ってた。賢いと思うてた。勝手にね。検証もなんにもせんでね、思い込みでね。思い込みがきつかった。

それで友だち(の)ところに行ってそんなことを話しとっていたんですが、『それ、間違ごうている』と言うてくれるんですよ、友だちは。そやけどそんなもん言うこときかんと、もう思い込んでいたから。確信犯ですね。確信犯で調子に乗って、『間違うてない』、『いや間違うてるよ』と、ごっつう大きな声で言われたんですよ。それでもう反発して『間違うてない』と。

今度、それは雲の上に登るような感じになってね。私は雲の上の人間やいう感じになって、誇大妄想でね、もうのぼせ上がっとったのよ。これは間違いないと思って。それから家に帰ったりしたら、今度気がついたら病院でした。そやからその途中で何をしたか分からん。気がついたら病院で、友だちに聞いたら『救急車が来て、おまえは救急車に乗ってた』(と)言われました。

22歳の時です。大学3年。2年だぶっていますから、3年の時ですね。」

Q.その時に受けた治療を教えてください

インスリンショック療法とか電気ショック療法とかを受けました。インスリンショック療法(を)受けて…、ブドウ糖を飲むのが、ごっつおいしかったです。それを飲んだためかどうか知らんけど6か月で20キロ肥えました。今度復学して学校行ったら『おまえ、どないしたんや、誰かに殴られたんか?』(と)言われました。それから痩せません。」

インスリンショック療法:糖の取り込みを促進するインスリンを大量に投与して、人為的に低血糖ショック状態を引き起こすことによって、統合失調症(の興奮状態)を治療する方法。一時は広く採用されたが、リスクが高く現在では行われていない。
電気けいれん療法:かつて電気ショック療法と呼ばれたこともある。薬の無い時代の暗いイメージがあるが、現在は、厳格な監視下で安全な方法で行われており、けいれんの起こらない方法(修正型電気けいれん療法)が主流である。うつ病、躁病、統合失調症の急性期などに有効である。

Q.治療により症状は良くなりましたか

「お薬の名前は知らんです。先生は病名も言ってくれなかったしね、昔はね。

病状は、イライラせんようになった。友だちがおったら、『こんなやつイライラするな』と思うたけどね、イライラせんようになった。不思議やった。

あとになって考えたら薬の加減ですわ。そやけど半面、鈍感になっていました。今まで鋭敏だったのが鈍感になっていました。鈍感が欠点いうか…。落ちつきすぎたんが、ええというんか。そんなのがありましたね。それは黒板の字を見ても以前はすっすっと分かったのが分からんようになったりね。友だちと話しとってもイライラせんようになりました。それが良かったですね。それは救われました。」

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