「いやぁ、全部、3回(の入院)とも守らずです。もう治ったと思ったんです。調子いいしね。それで別にこれに囚われるものもなかったし。やっぱそれがちょっと軽はずみだったね。薬を飲むべきやった。今から思うたらね。
それで、(服薬を)やめたら今度は大量服薬せいいうか、ぎょうさん飲まされるから、またきつうなるいうんか。だから、あれ恐いですね。医者の薬、医者は合法的にやるから。こっちは文句(を)言われへんから、恐いですね。」
「今、飲んでいるのは、ハロペリドール3mgです。それだけです。というのは50代になってデイケア(に)通うようになって、先生と毎日会うようになって、それから信頼関係ができて、働くようになったし。デイケアから仕事をやっている。そして薬(を)減らしてくれました。(調子は)いいですね。」
セレネース(ハロペリドール):定型抗精神病薬
「いやあ、よだれがぽとっと出るのが、かっこ悪い。かっこ悪いけどよだれ(が)出るね。ぽとっとね。(他は)うーん、別になんとも感じないですね。」
「5、6剤ありましたね。それが全部なくなって、1錠になりましたね、今。
10年ぐらいかな。65(歳)になって1剤になったんです。だから53(歳)ぐらいか55(歳)ぐらいから減りましたね。というのは、それまでは大量服薬で、先生(が)飲め飲めいう方針になって、飲まして動かさんいうか。それが(今度は)社会生活をせいと言うようになって、減り続けましたね。
というのは、新しい先生が来られて、『これは大量服薬やから』となって、こんなに飲ましたらあかんいうて、先生同士喧嘩をしたらしいです。『なんでおまえがこんなに投与するのか。自殺未遂したやないか』といって喧嘩になったと言うていました。どなりこんでくるんや言うてました。飲ませていた先生がね。その先生は昔風の先生です。飲まして押さえ込んで動かさんようにして、社会に迷惑かけたらあかん、大量服薬させて施設に放り込んでおけいうんで。ま、政府の方針で、忠実に守ってやっておったと思いますわ。
ところが今はそれがなくなって『社会に出て行け』ばかりになって…、僕もそれを1つやっているんですけど。ピアサポートいうのを、退院促進の一環でやっているんです。それに皆、社会に出て行け(と)いう方針になってきた、政府が。これでどっと、こないなっています。」
「ちょくちょく変わりました。4人ぐらい変わったんかな。そやから先生が伝言をつないでいるかしらんけど、申し送りでやっているのかしらんけど、次から次に(薬の量が)減りました。
信頼関係ができたんです。30年40年前は、主治医の先生とも信頼関係ができへんかった。もう医者が恐くて恐くてね。人間不信があるのにね、その上、医者という権威でしょ。もうどうしようもなかったですよ。それで、もう逃げ回っていたというのか、もう嘘をつきまくっていたというのか。信頼関係ができる道理があらへん。
それがデイケアに行くようになって、これはもうあかんなと思うて、僕もちょっと覚悟決めたというのか、腹をくくったというのか。それで、白状するようになって、それからやっぱり信頼関係ができましたね。医者も人間やから、悪いことないです。こっちが悪かったからです。こっちがちゃんとして『こうやこうや』と懇切丁寧に言ったら、ちゃんと答えてくれます。前の時は恐かったものやから、対人関係で恐かったものやから、それでうまくいかんかったです。」
「それは、以前、入退院(を)繰り返していた時に夜昼逆転になる作用がようあったんです。夜起きて、昼寝るいうんか。うちのお袋がいうには赤ちゃん作用と言うてました。僕の場合ね。それを防ぐために昼は起きて動けるように、夜寝るように。一人暮らしするようになったらお袋もおれへんし、一人暮らしやからそれをせなあかんと思うて。まあ、自衛のためですね。規則正しい生活をせなあかんのでね、デイケアに行くようにしました。デイケアは良かった。先生も勧められたけど、僕も進んで入りました。」