統合失調症と向き合う

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河村朋子さん
河村朋子さん
(かわむら ともこ)
1965年生まれの50歳(収録時)。25歳で精神科を受診する。初めは「うつ病」と診断され治療を受けていたが、9年後に統合失調症と診断される。公務員として仕事に就いていたが退職し、その後、執筆作業に入り、書籍を発行。幾度かの入院体験をし、直近では2015年10月〜2016年1月に入院。通院は1週間に一度。現在は症状がコントロールでき、執筆活動を再開する予定。障害者や高齢者への理解を深め意識のバリアフリーを目指すボランティア劇団に所属し、ピアカウンセラーの研修も受けている。母親と二人暮らし。著書『楽しい地方公務員』『人と鬼と』『魔の水』ほか多数。
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4現在服用している薬
Q.現在処方されている薬を教えてください

エビリファイを飲んでいます。他にもいろいろありますけれども。

たまに頭痛とかありますし、気分が落ち込むこともありますけれども、こんなに調子が良いのは本当に何年ぶりかです。」

[河村さんが処方されている薬剤]
・エビリファイ錠(アリピプラゾール):非定型抗精神病薬
・ロラゼパム(ロラゼパム):抗不安薬
・フルニトラゼパム「アメル」(フルニトラゼパム):睡眠導入薬
・ニトラゼパム「TCK」(ニトラゼパム):睡眠薬
・ベゲタミン−A配合錠(塩酸クロルプロマジン、塩酸プロメタジン、フェノバルビタールの合剤)
・ベルソムラ(スボレキサント):睡眠薬
・スルトプリド塩酸塩「アメル」(スルトプリド塩酸塩):抗精神病薬
・ジアゼパム「アメル」(ジアゼパム):抗不安薬
・センノシド「JD」(センノシド):緩下剤
・ラックビー(ビフィズス菌):整腸剤
・ビコスルファートナトリウム「ツルパラ」(ビコスルファートNa経口液):緩下剤

Q.現在、薬による副作用はありますか

「便秘と生理不順。これはお薬が変わったせいで体が……、前もあったのです、薬が変わって生理が(来ない)。年齢的なことを言われれば、もう無理はないかも分かりませんけれども、その2つぐらいでしょうか。あと頭痛と。」

Q.体調が良くなったのはなぜだと思いますか

「(今回)入院したのが良かったのだと思います。今回入院して、担当看護師の方が私よりちょっと年上なのですけれども、その方がよく話を聞いてくださって、いろんな生きる上でのアドバイス、これからどう生きていくかとか、とにかくいろんな面でご教授いただいたことが私にとってはプラスになったり……。

言い争いもしましたし、その人の前で思いっきり泣いたりもしたりしたのですけれども、体当たりでぶつかれる看護師さんと、話を聞いてくださって薬を最小限で効かせてあげると言ってくださる先生がみえたお陰と、あと病院の環境も良かったのだと思います。開放病棟だったのですけど、私の場合、急性期の開放病棟で、患者が4人しかいなかったのです。しかも年齢がみんなよく似た40代後半から50代前半にかけての男二人女二人だったので、とても仲が良く、和やかに、最初はみんなぎこちなかったのですけど、私が『おはようございます』と挨拶するとあちらも返してくださるようになって……。

そしたらみんなで、寝る前のお薬が来るまで、ホールで『今日はどのテレビ見る?あのテレビ見る?』とかいろいろ言い合って、仲良く過ごしていたのが楽しくて。それは私だけではなくてみなさんも楽しんでくださったのだと思います。そうやってきた環境も良かったので、ここまで回復できたのだと思います。

13年間通っていた病院は、いちばん最後の入院の時に思ったのが、担当看護師がさあ決まりましたといって、名前のプレートをベッドに入れてくださいますよね。それで、その看護師さんが3日経っても挨拶に来なかったのです。で、私が5日目にしびれを切らして、その看護師の名前を見て、一覧表が詰所に貼ってあるのです、名前と写真と抱負と。で『笑顔で接します』とかって、その割には来やへんがなと思いながら、行ってみて私が挨拶したら、『はいはい』と言って。で、『あなた、私がなぜ入院してきたかもご存じないんですか?』と言ったら『ええ』と言われたもので私がプツンときて、師長を呼んでくれと。担当看護師を変えてくれ、こんな不誠実な担当看護師はイヤだと言って、私が怒ったことがあった。

(また)主治医が2週間経っても診察に来なかったことがあった。で、私が体感幻覚で胸が痛くてコロコロしていて、夕飯も食べられないぐらい痛くて、『主治医呼んでくれ』と言ったら、『主治医は今日はデートがあるので来れませんということです。お夕飯もう戻してしまいましたけどどうしますか?もうこのまま退院なさってもいいんですよ』と言われたのにびっくりして、『もうこの病院はあかんわ』と思ったのが、見切りをつけるきっかけの一つでもありました。

Q.医療スタッフの対応は症状の回復に影響すると思いますか

(最後の病院では)私はとにかく、最初の1か月間は、担当看護師さんが『鎌倉幕府』とあだ名をつけたぐらい、布団をかぶって泣いていたのです。それがだんだん元気になってきて、看護師さんとお話するようになってからがもうグァーン、ドゥーンと上向きになって……。それまで、食事をしていてもろくにみんなの顔も見なかったのに『やあ誰々さん、おはようございます。今日もよろしくお願いしまーす』とか言うようになって、自分でも不思議なぐらい状態が良くなって怖いぐらいでした。(その状態は)続いています。

そこが大きな転機でした。お薬もありましたけれども、やはり担当看護師の存在がものすごく大きかったです、私にとっては。

担当看護師さんだけではなくて、趣味の合う看護師さんもおみえになりましたし、話の合う看護師さんもみえたので、その方々といろいろなお話をして、心が豊かになった部分もたくさんあったり、また学びたいなぁと……。いろんな看護師さんが、例えば国文学科を出ていて、芥川龍之介の小説の読み解き方とか宮沢賢治の『風の又三郎』の読み解き方とか、その学問の、学術的な読み方を教えてくださった時に、ものを書く者としては、こういう読み方もできるのかぁとか。自分の本をお見せした時に『私はこういう感想やった』と看護師さんによってまったく違う感想がくるので、それがまた一つの励みになるというか、じゃ、今度こういうものを書いてやるぞという意欲が湧いたり……、とにかく刺激が多かったです。

でも、この6年間は一冊も書いていないのです。状態がとても悪かったから。ブランクはありましたけれども、書きたいという気持ちは常にあったので、意欲が湧いてきたというか、それも生きる励みになったというのが一つですね。で、『次の作品を楽しみにしとるから』と言われるのがすごく嬉しくて、じゃあ、私も頑張って書かなきゃなとかいろいろ思ったりしているのですけれども。

自分のこれまでの病気のことも含めて、それも絡ませていろんな方面から読める恋愛小説を書いてみようかなというふうに思うようになりました。」

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