統合失調症と向き合う

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河村朋子さん
河村朋子さん
(かわむら ともこ)
1965年生まれの50歳(収録時)。25歳で精神科を受診する。初めは「うつ病」と診断され治療を受けていたが、9年後に統合失調症と診断される。公務員として仕事に就いていたが退職し、その後、執筆作業に入り、書籍を発行。幾度かの入院体験をし、直近では2015年10月〜2016年1月に入院。通院は1週間に一度。現在は症状がコントロールでき、執筆活動を再開する予定。障害者や高齢者への理解を深め意識のバリアフリーを目指すボランティア劇団に所属し、ピアカウンセラーの研修も受けている。母親と二人暮らし。著書『楽しい地方公務員』『人と鬼と』『魔の水』ほか多数。
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5辛かった時
Q.治療中、辛かったのはどういう時でしたか

「体感幻覚でいちばん辛くて、いちばん主治医に助けてもらいたい時に、主治医がデート、私よりもデートを取ったということがいちばん辛かったです。2年ぐらい前ですね。

(お母さん)その前にいちばん最初に保護室に入れられたじゃないですか。

(I)センターに入ってすぐです。入ってすぐに私が暴れて……。あの頃はもう自分でも訳が分からなくパニくってしまって、家に帰りたくてドアをドンドン、椅子で叩いたのです。そしたら保護室に放り込まれて、『出してくれ』と言っても出してくれなくて。

それで喉がすごく乾いたので、『お水ください』と何回言っても、何の反応もないのです。枕を投げても何の反応もない。『お水ください』と一晩中言ってもくれなくて、喉は渇くし辛いしで、ずっと泣きっぱなしでということはありました。あれも辛かったです。

翌日にはごはんが来ますので、その時にお水がついていて……。1週間ぐらい保護室から出してもらえませんでした。」

Q.保護室にいる時はどのような気持ちでしたか

「囚人ってこんなものかなという感じでした。牢屋に入れられるというのはこんなものかなぁと。衝立(ついたて)はありますけど、むき出しの便器で、ロール(トイレットペーパー)が1つポンと置いてあって。洗面所は朝、鍵が開いて、その外に洗面所があって、そこで手を洗って歯みがきしなさいといって、やったらまた放り込まれてガチャンガチャン。で、また1日寝る。食事をとる時以外はそこでずっと。

何も持ち込み禁止です。何も着替えさせてもらえませんでした。(風呂)なしです。」

Q.自殺未遂について

「どん底で実は自殺未遂を2回したことがありました。去年(2015年)の夏です。

(お母さん)発症当時もそう。

でも、本格的に自殺未遂、本当に死のうと思って自殺未遂したのは去年(2015年)の夏、2回。1回(目は)睡眠薬を大量に飲んだら死ねるとテレビで言っていたので、全部飲んでパタっと本当に寝て、グーグー寝ていて、起きたら朝だったと。

それで2回目は、泣きながら、本当にこれはもうあかんわと思って母に『悪いけど一緒に死んでくれへんか』と私が言った時に、母が、『じゃあ妹に承諾を得てから』と……。

(お母さん)包丁も突きつけられたのですよ、私の胸(笑)。

妹に電話して、『お姉ちゃん今からお母さん刺して死のうと思うとんのやけど』と。そこで妹が『お姉ちゃん死なんといて!なに馬鹿なこと言うとんの』と言ったら、私、死んでいたと思います。妹が言ったことは『そんなことしたら、私、離縁させられるよ』。まずそう言いました、彼女は。で、『甥っ子の将来も潰れるよ。お姉ちゃんそれでもいいの?』。そこで私、カンと。『私、何やっとんのやろう。そう言えばそうだな』と。私の命は私だけのものと違うし、母の命も私だけのものと違う。妹がいたわ、そう言えばと。それで自殺を思いとどまることができたのです。

「親として」

(お母さん)私が、主人を亡くしてからこの5年間、6年間ですか、この子を車の横に乗せて走っている時に、このまま川へ飛び込もうかと、何回思ったか分かりませんよ。この子が自殺しようかと思う前に、私が何回飛び込もうかと思ったか分からない。

なんて言うかカウンセリングとか面談などをしていても、その人に対する言葉と、実際自分がこうやって抱えているのとは、また違う面がありましてね。

やはり人には、いろいろ聞き取り、傾聴して……、この子もピアカウンセラーなのです。30回研修を受けて、学校の先生やらいろんな方の悩みを聞いています。そういう相談を受けている時は、受ける立場でしていますけど、実際家に帰ってみると、やはり当事者を抱えているじゃないですか。当事者が苦しむじゃないですか。こんなに苦しむのなら、生きているのもかわいそうやわと思って。で、むしろ楽になったほうが、この子もいいやろうなぁと、何回飛び込もうか、車のまま川へ飛びこもうかと思ったかしれませんよ。主人と二人で、もがいてもがいて今日まで来たのです。

そうですね、思いとどまりましたね。結局この子なのでしょうね。自分の子であっても、自分の命ではない。どれだけ苦しんでも、私がこの子の命を奪う権利はない。最後にフッと頭に浮かびますね。で、朋子の顔を見てフッと我に返るのですよね。何回あったか分かりませんね。それぐらい苦しみましたね。」

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