「これは本当に偶然というか幸運なのですけども、大学で一応心理を専攻したので卒論を書くわけですけども、卒論の担当の先生、指導教官の方が臨床心理をやっていた方で、『なんかお前おかしい、おかしい』というふうに冗談っぽく言って。で、『薬はちゃんと飲んでるのか』とかいう話になって、『いや飲んでないです』とか、『じゃ、なんで通院をやめたのか』という話になったのですけども、結局『入院するのが嫌でやめたんです』と素直に言ったら、その担当の先生が分かったと言って、『じゃ、入院しないで診てくれる医者を紹介してやるから』という感じで、大学病院の付属の、その先生の知っているドクターに紹介されたのですよ。
そのあとは、やはり大学病院のドクターなので、忙しくて予約がなかなか取れない。それで、その時は大学を出て、その後も診療(通院)を続けていたのですけども、やはり仕事を転々とするという状態が続いて、先生もやはり手詰まりというか。こちらも、その当時はあまり、いろんな社会資源を使うとかそういうこともなかったので、そこで現在の主治医の先生に紹介されて、そこでずっと今まで治療を受けているのです。」
「今、54年(歳)で、大学卒業するのが22〜23(歳)なので、30年近くという感じですね。大学卒業する時からまた精神科に通い始めたので、長いです。」
「そうですね、やはり臨床とかいろいろ興味があったということがあるし。心理学科は、実際そういうものではなくて知覚の実験とかをやるところなので、嫌だと言ったりする人が多いのですけども。今のように臨床心理がまだ盛んではない時なので。ただ私は、知覚心理学とかにすごく興味があったので、そういうことをやりたいなというの(思い)があって入ったのですよね。認知心理学とか、今ではそういうふうに言っていますけど。」
「精神療法ですね。あと薬物療法。その時も薬はちゃんと飲んでいました。名前は、主にフルメジンとアキネトンと記憶しているのですけども。あまり多剤を飲んでいないという印象がありましたね。
(精神療法は)ま、いろんな問題を話して、聞いてくれる感じですかね。特別なことはしないですね。その先生は、それが良かったと思うのですけども。結構自分(先生)も落第とかしている方で。医学部ですね、超エリートの学校なのですけども、ほんとにそこを出て医者になって、なんてことをつぶやいたりして、とても人間味のある先生で。ご自身も非常に不器用な感じがある先生だったので、なんか馬が合ったというか……。それで、(通院先を)変わる時もその先生が勧めてくれる所なら間違いないだろうという感じで、実際、間違いなかったと思うのですけども。」
フルメジン(フルフェナジンマレイン酸塩):定型抗精神病薬
アキネトン(ビペリデン塩酸塩):抗パーキンソン病薬
「症状は消えないです。だから、妄想というのが、あまり詳しく勉強していないので分からないのですけども、一度卒論も、対人恐怖症についてということで書いたので、一応いろいろ文献を見ていて。そういう対人恐怖の、人に見られている感じがするとか、そういうことがすごく似ていると思ったので、単にそれが続いているのかなという感じで、統合失調症とか分裂病だったという印象は、その時もやはりなかったですね。」