統合失調症と向き合う

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小松崎隆さん
小松崎隆さん
(こまつざき たかし)
1962年生まれの54歳(収録時)。高校2年生の時に発症。大学を卒業し、就労するが退職。入院体験は2回。ヘルパー2級の資格を有し、現在は身体障害者の介護のアルバイトをしている。実父と同居し、家事の一部を担っている。自身の希望で週に一度受診。
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4入院治療について
Q.入院することになった経緯を教えてください

「すごく自分の記憶が飛んでいるところがあって……。というのは、初めの入院は自分の意志で決めて、年末もバタバタしている時に他に入院させてくれるところもなくて。でもそこは『いいよ』と言ってくれたので、開放病棟に初め入院して。ただやはりそこでは妄想とかがひどかったみたいで、幻聴とか……。

今になって思うのですけども、食堂とかに人が集まってくると、その中に、私服のワーカーというのも変な言い方なのですけど、そういうワーカーの人が紛れ込んでいて、自分を監視しているという妄想があって。寝ていても、やはり、人がなんかしゃべっていると、それがもう自分のことを言っているとかそういうふうに思うのが続きましたね。それで、いったんは退院したのですね。だけどその記憶はまったくなくて、家で倒れたらしいのです、そこを退院してきてから。

よくよく思い返してみると、荷物を持って、病院の廊下を歩いていった記憶があるのです。『出してもらっていいですか?』と言って、しまってあるものを出して歩いていった記憶はあるので、家には帰って来たみたいなのです。父親の話では、食事をしていたら急に倒れて、全然動かなくなったと言うので、心配して、父親の記憶も定かではないのですけども、今まで何十年と通っているクリニックに父親が、(私は)意識朦朧としていると思うのですけども、連れて行って、診察を受けて、主治医の先生が病院を紹介してくれたみたいです。そこは、記憶がまったくないのです。

イメージとしては、不思議な感じもあるのですけども、前の病院から、スーッと寝たような感じになって、そのままそれが続いていて、起きたら次の病院だった。別の閉鎖病棟の病院ですけども、起きたら拘束されていたという感じがあるので。

全然憶えていないのですけど……、ただ夢の中では、おかしな話なのですが、新しいきれいな病院らしいのですが、それはたぶんCTスキャンだから撮るイメージがそういう連想をさせているのだと思うのですけども。狭い所に入って、そのまま死ぬというイメージがあって。それで、検査をしてみたら何もなくて、あるいは、単にその仕事が終わったということで、若いドクターとかナースの方達とかがすごく喜んでいるのが印象(として)、夢の中で出てきた気がして。それで、『あ、自分もこれで役に立ったんだな』という気がして、不思議な感じがあったのですけども。」

Q.入院を体験して良かったことは?

「入院していちばん良かったと思うのは、やはりはっきり診断がついたということがあって。症状に関しても。ま、それも、退院してきてからですね、整理がついたのは結局。だから、最後の退院、2回目の入院から退院していろいろ考えるようになってから、だんだん整理がついてきたという感じです。

やはり2回目の病院でも、幻聴みたいなものありましたし……。ただ、いろいろ気づきとかもあって。それまで思考伝播(しこうでんぱ)、自分の考えが伝わってしまうということに、すごく苦しんでいたのです。それも、なんだろう、あまり公にはできないような、悪いこととか差別とか、そういうことがどうしても頭に浮かんでしまって強迫的に、それが伝わってしまうので、当然みんな、その対象の人は嫌だと思っているというふうに思ってしまって。

それが、同室の人が、『伝わってる?伝わってる?』とよく聞く人だったので(すが)、この人の考えることはまったく分からない。この人の『伝わってる?』と言っているのは、じゃ、自分の考えも伝わっていないのかなと、漠然と思うようになって……。それが完全に取れるようになったのは、2回目の入院から退院してきて何か月か経ってからなのですけども。」

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