統合失調症と向き合う

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阿部雅人さん
阿部雅人さん
(あべ まさと)
1961年生まれの55歳(収録時)。16歳(高校2年生)の時に発症し、精神科を受診。高校は中退し、大学入学資格検定試験に合格。大学入学を目指すが家の事情であきらめる。その後、就労し、いろいろな職種に就くが続かず、現在はデイナイトケアに通いながら、当事者活動を行っている。
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7病気の認識
Q.病気について調べたことはありますか

「それは、僕の信念としては、自分の病気などに対して知ろうとするのは、あまりいいことではないと僕は思っているのですけどね。

人によって、たしかにそういう方もいらして、薬とか病気について調べている人も多いですけど、僕はあまりそういうのは感心しないのですけどもね。医者に素のままの状態で、まあ、医者とは勉強量が全然違うわけだから、下手に……、例えば『この薬はこういう副作用があるから飲まないほうがいいんだ』と言って飲まないような人もいますから、そういうふうになってしまうと。それは、ある程度分かりますけどね、もう、いい加減飲んでいると。

それでもやはり、医者が出したものだから、素直に飲んでいたほうがいいと思うようになりました。特に、僕の場合、失敗だったのは、18(歳)の時に、薬を、たしか1錠か2錠だけになった、寝る前に。それをやめてしまったのが失敗だったから。でも、たぶんあの時続けていても再発したと思うのですけど。でも、やはり、例えば、必要があって調べるということも、まあ、いいことだとは思うのですけど、僕は、医師の言う通りに薬を飲んでいたほうがいいと思うのですけどもね。

先生の言うことをやはり守らなければいけないなと気づかされたことが1つあって。またお酒なのですけど、去年の今ぐらいの季節だったかなあ。友達と(レストラン)に行って、友達、みんな精神障害者で行ったのだけど、4人でワインを飲んで、ガンターとか飲んだのですよね。その日は良かったのですけど、翌々日に自殺したくなってしまって……。

その時は110番して、警察官が4人来て、生活安全課の人かな、あと制服の巡査と、3人と1人とが来て。で、夜中に病院まで車で連れて行って、いろいろ話を聞いてもらって。それで、頓服の薬を3倍まで飲んでいいから、2日我慢、2日待てば問診できるから、それで、なんとかなるということで。まあ、結局、措置入院にならなくて、帰されて、結局ここ(部屋)で寝たのですよね。

こっちのほうも逆にもう夜中の3時か4時ぐらいだったので、眠くてしょうがなかったのですけど。で、寝て、その通りにして、先生にその当時の話をして、4倍量かな、コントミンは普通25ミリグラムとか頓服に使うのですけど、コントミンを100ミリ飲んで、寝ましたけどね。眠れるようになりましたけどね。」

Q.病気になったことをどのように思いますか

「こういうことを言うものではないのかもしれないけど、そういう病気になるのだったらば、生まれてきたくなかったですね、正直言って。こんな病気になってね、まだ僕ぐらいだったら働き盛りの年齢でね、生活保護を受けていて……。もう両親が亡くなっていますけど、まあ、こういうことは言いたくはないけど、生まれてこなければ、こんなに辛い思いをしなくて済んだのにと思いますね。

(それでも生きていくのは?)うーん……、いや、それは逆に変な話、マイナス的な答え、死ぬのが怖いからですね。死ぬのは怖いですよ、はっきり言って。自殺未遂もしましたけどね、ものすごく辛かったですよ、首を吊ったこともありますし、リストカットも1回したけど、痛い、ものすごく。

あと、10年前は彼女がいたのですよね。(今は)いないけど、別れてしまって。それで、35年つき合った友達がいたのですよ。去年(2016年)の暮れ、12月に彼が亡くなってしまって。やはり寂しいですよね。とても頭のいい人で、良識家だったし。脳内出血を二度やってしまって、最期は肺炎で。

偶然知り合ったということですよね。まあ、意気投合というか、本当に馬の合う人だったですよ。ずっと仲が良く。再発した時にね、(友人の)家に、1日に10回近く電話をかけたのですよね。それで、『こんなこと二度とするなよ、こんなことしたら友達の縁切るから』とガシャーンとやられて。で、その次の日に『入院するから見舞いに来てくれ』と言ったら、『分かった、見舞いに行ってやる』と言って、次、ちゃんと来てくれたのですよね。」

Q.今後の望みなどは?

「望みですか?まあ、こんなこと言っていいのかなと思うのですけど、早く死にたいなと思いますよ、はっきり言って。もう、早く消えてしまいたいと思いますよ。さっき言った、35年つき合った(友人)が死んでしまったというのは非常に辛くて……。」

Q.現在、活動している障害者の会の存在はあなたの支えになっているのでは?

「まあ、たしかに、それはそうなのですよね。会は(仲間)3人で始めたから。だんだんいろんな人を引っ張ってくるようになって。たしかに、障がい者同士の、今はもうほとんどが精神障がい者だけど、身体障がい者とか知的障がい者の人も来てもらってね、そういう社会的弱者というのは、声をあげなければいけないなと思いますよね。だからこういう撮影にも参加したのですけどねえ。」

Q.障害に対して偏見や差別を感じたことはありますか

「これは、言いたくないのだけど1つあるのですよね。小さな古本屋兼喫茶店があって、そこで、けっこう私は常連なのですけど、まあ、ちょっとあることがあって、精神障がい者だということがばれてしまって……。

その時に、ある作家のある作品について語り合うということで、それに参加したいと言ったら、『阿部さんが怖いからって言われているから参加しないでほしい』と言われて。これはもう、精神障がいだからの差別だなあと思いましたね。精神障がいだということを知らなかったら、たぶん話し合いに参加させていると思うから……。」

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