「そうですね、いろんな症状があって……、大きく捉えると良くなっています。初めにお話した人が怖いですとか外出するのが怖いといった症状は、本当にかかり始め、薬を飲み始めたほんの1週間とかで、かなり和らげられました。外出したりするのが、また苦でなくなりましたね。
それと同時に、薬を飲み始めたことによるのかどうか、薬の副作用か病気の症状か分からないのですけど、いろんな身体的な症状というか、体の不調は感じました。それは、ま、僕自身が元々持っている体の不調ともつながっていたりして……。
例えば、僕は目がものすごく悪いのです。近眼で、なおかつ左右の視力がずいぶん違って、右目のほうが弱視に近いのです。それで、目が疲れやすかったりするので、疲れてきたりするとめまいがしたり……。そうですね、いちばん辛かったのがめまいですね。(その症状は)だいぶ少なくなっています。今では滅多に出ないですね。」
「それがですね、僕が統合失調症とはっきり知ったのは、つい最近なのです。精神保健分野のある調査に協力することになって、自分の診断名を知らないといけなくなったので、その時の主治医に聞いたら、『ま、統合失調症ですね』というふうに言われました。
もっと前から診断は出ていたし、おそらく両親とかも知らされていたと思うのですけど。最初の主治医に、ある時僕は診断名を聞いたのですね。かかり始めてから2年ぐらいだったと思うのですけど。その時に主治医は、『処方している薬は、統合失調症の薬だけど』という言い方をしたのですよ。なので、その時に、まあ統合失調症だと知らされていたということになるのでしょうね。」
「(それまで病名については)気にしていなかったですね。同じ診断名でも人によって違う。結構いろいろな症状が出ていたりしています。
デイケアでの体験が大きいですね。デイケアには5年近く通ったのですけど、80人ぐらいの人が登録していて、毎日30人から多い時は50人ぐらい。さまざまな、何ていうか治療段階というか回復段階だったり、もう本当に人種のるつぼのような感じのところだったのですけど、そこにいた時に『人はまあ違って当たり前だ』と思うようになって。診断名よりも、人を人として付き合うことが大事なのではないかなというふうに思うようになりました。
ただ、2つ下の弟がいて、彼も統合失調症なのですが、彼は僕が25歳の時に発症しているのですけど、その時に、母親から、同じ病気だというふうに言われたので、そういうところでも統合失調症だっていうことは、もうちゃんとハッキリとされていたわけですね。」
デイケア:地域の保健所や精神保健福祉センター、医療機関などで、個人別の評価と働きかけ、およびレクリエーションやSST(社会生活技能訓練)などのグループワークを組み合わせることで、社会復帰の足がかりとする取り組み。
「オランザピンの10mg、1日に1回です。寝る前に飲んでいます。(睡眠障害は)治療を始めた頃はありました。ただ、オランザピンに変わってからはほぼないです。(薬が変わったのは)16年ぐらい前です。
初めに処方されたのは、塩酸クロルプロマジンとハロペリドール、この2つがメインで、そのあと、かなり長い間リスペリドンを服用していました。そのあとですね、オランザピンに切り替わって、徐々にそれを一本にして……。」
ジプレキサ(オランザピン):非定型抗精神病薬
ウインタミン(クロルプロマジン塩酸塩):定型抗精神病薬
セレネース(ハロペリドール):定型抗精神病薬
リスパダール(リスペリドン):非定型抗精神病薬
「良くなりましたね。(副作用は)食欲の部分は結構あります。もともと歩くのがすごく好きなのですけど、オランザピンを飲み始めるようになって、最初ちょっとお腹が出てきたりしたので歩く時間を増やして、そこに対応しています。
1日1時間は歩くようにしていますね。休みの日、時間確保のできる時は2時間とか歩くようにしています。いいですね。精神的にもすごく気分が落ち着いてリラックスできます。」