「手術後から退院まではなるべく歩いていただきます。それが腸の癒着防止と肺炎予防にもなりますので。あとは、食事を急いで食べたり、お腹いっぱいに食べてしまったりということがないように注意していただく生活になります。」
腸の癒着: 手術による影響や腹の中の炎症などによって、腸と腹の壁、腸同士が互いに貼り付いてしまうこと。
「回復力をとにかく高めてもらうために、『早期離床』といって、手術の翌日にはもうベッドから出て歩いていただいています。傷の痛みもあるでしょうから、その様子を見ながらどんどん病院内を歩いてもらい、お腹の動きをよくするように過ごしてもらっています。
『痛い』とか『ちょっとめまいがする』とおっしゃる方もいますが、めまいはたぶん手術の麻酔の影響であったりしますので、それは時間とともに消えていきます。吐き気があれば吐き気止めを使いますし、痛みがあれば痛み止めも使います。ストレスにならないように、体に合ったお薬を使って体を楽にしてから歩いてもらいますので、意外と歩けると思います。
たとえば病棟内を何周かしたり、当院には中庭があるので、そちらで気分転換をかねて何周か歩いてきたりされています。朝いちばん、お昼ご飯前、と時間を決めて歩いている方もいます。」
「要は、癒着が激しいと腸閉塞にもなりやすいですし、お腹の動きを止めないで動かしてあげるということです。腸閉塞になると腸が詰まった状態になるので、お通じが出なくなったり、場合によっては吐き気、お腹の痛みが起こります。そうなると、お通じがたまらないようにお食事を止めて、点滴で過ごしていただくことになります。
場合によっては、管をいれて腸の狭くなっているところを広げたり、もっとひどいときには手術をしますが、(そこまでいくことは)ほとんどないです。入院中に(腸閉塞が)起きた場合は、だいたい食事を止めて少しお腹の動きを見ますが、それで回復していかれる場合が多いです。」