「もともとおひとりで暮らしていて、自炊をしていらっしゃった方であれば、あまり神経質にならずに入院前の食事を用意していただいて、早く食べないとか、もし料理ができるのであれば、少し長めに煮込んでもらうとか、そういう少しの工夫でよいと思います。
「いちばんは、とにかくお腹に負担がないようにというのがもともとの目的なので、軟らかく煮ていただく、あるいは刻んでいただくという方法もあります。
急に極端に生活を変えることはしなくてもよいと思いますが、ただ今まで特に何もしていなくて、帰ったあと誰かがいないと食事ができない状況の方であれば、福祉のほうに相談をして、(ヘルパーなどに)お手伝いしてもらうことはできると思います。癌研でも医療支援センターというところがありますので、もし退院後の生活でお困りのことがあれば、相談していただければ調整はできます。」
「食べる量は腹八分目なのですが、もし(1回の)量を減らすとお腹がすいて仕様がないとしたら、食べる回数を多くしていただくのがいいと思います。3回食事するところを5、 6回に分けて、同じ3回分の量でも、分けて食べていただくと負担が少なくなります。そうすると食事と食事の間も短くなるので、空腹感がなんとか紛れるのではないかと思います。」
「食欲がないときは無理に摂らないほうがいいと思います。食欲がない原因にもよるのですが、無理に食べる必要はないです。
それが何日も何週間も続くようですと、またちょっと話が違うのですが、手術後なのでやはり一時的に食欲が落ちることもちろんあります。そういう場合には無理に食べると吐いてしまったりするので、それは食べたくなければ、ちょっとお休みするという感覚でよいと思います。」
「腸を手術すると(腸が)むくみますので、そのむくみがひくのが1ヵ月ぐらいと、だいたい言われているようです。だからそれまでは消化のよい食事を食べてもらったり、量を制限してもらったりしますが、そこで問題なく過ごしていただければ、あとはもう普通の生活に戻っていけると思います。手術をしたからといって、退院したあと極端に床に伏せがちになってしまうようなことは、基本的にないと思いますから、本当に少しずつ体力さえ戻れば大丈夫だと思います。」
「便は我慢をしないで、出したいときに出していただくのがいちばんだと思いますが、もし出づらい方であれば、病院で緩下剤を処方してもらったりして、とにかくお腹の中に便を溜めないようにしてもらったほうがよいです。もしトイレに行く習慣がなければ、習慣づけていただいて、時間になったら座っていただくということは必要だと思います。」
「腸の中のどの部分を切除したかも、お通じの回数に影響があるのですが、だいたい直腸を手術した場合にやはり一旦溜める部分がないので、便がちょろちょろと出てきてしまったりします。あまりにも頻回で水のようなお通じが出る場合には、脱水が心配なので、そのときには相談していただければ、それに対応はできます。お通じのコントロールは苦労するところだと思いますが、一生そうなるわけではなく、日や月単位で見ていただければ、落ち着いてくると思いますので、慌てずに対処していただければと思います。」