「僕は美容師をしていたので、病気がわかった時点で接客を辞めて、ハサミを置かしてもらって、事務的な仕事に変わらしてもらいました。入院している期間だけお休みして、あとは普通に仕事しています。
いちばんガーンとショックだったとき、自分はそういう表情をお客様に見せたくなかったので、もう治るまではハサミを置こうと決めました。がんというのが、どこかネガティブなマイナスなイメージがあったのでそうしたのですが、今は逆にそれをいいことに、いろんなことをしています。僕たちの仕事は、もちろん病気の方も来られるので、そういう方の気持ちもわかることができるというのも、ひとつの何かプラスになったなと思います。またハサミを持ちたいな、復帰したいな、と今は思っているのですけれども。
こういう病気になっていろんな方と知り合いになり、がんになってから部署を変わって、逆に仕事がしにくくなったということを結構聞いたりもします。(職場に)理解者がいないと、たいへんだなというのはお聞きして感じますね。」
「実は、お腹(人工肛門のところ)からオナラの音がするんですね。プルプルプルプルプル・・・ていうんです。お客さんの後ろに立って耳のあたりで、プルプルプルというと、やはりいつそのタイミングが来るかわからないので、これが少し気になりますね。本来、自分の肛門なら『あ、今』とわかるじゃないですか。でも人工肛門はそのタイミングがわからないのです。自然に便もいっぱいになっているという感じなので、そのへんがちょっと気になる感じはしますね、お客様と接する仕事だと。
飲食業もやはりプルプルプルって隣で鳴ると、どうなのかなという感じは少ししますね。あと肉体労働ですね。外の現場関係はちょっと厳しいという感じがします。それ以外だったらもうどんな仕事でもできると思います。特にデスクワークとか、室内のことだったらできますね。できますね、ってそんな断言してもあれですが、できると思うので、がんということで仕事の格差みたいなのがあったらおかしいと思いますね。」
「全部で6つくらい保険に入っていたのですが、がんにはなれへんと思っていたので、3つほど残して、がん保険とかは解約していったんですね。だから、置いとったらよかったと思いましたけど。日本の保険てやっぱりすごいなと思いますね。病気にならへんと思っているのは元気なうちだけなんだなという感じが本当にして、今はもう保険の営業マンかなというくらい、『保険は入ってる?』とか人に言っています。保険は本当に入っていてよかったなって思いますよ。保険屋さんからいくらもらっているとかはないのですけど、本当に助かっていますね。
普通の医療保険、入院1日いくらとか、そういうのに入っていました。その前は、よくテレビでやっているようながん保険にずっと入っていたのです。15年ぐらいずっとかけていたのですけど、やはり商売しているといろいろ資金繰りもあるので、3つほど解約したりしたのです。」
「やっぱり病気になってからでは遅いと思うのですが、病気になってから特に細かいことを気にしなくしているのと、笑うといいというのを聞いたので、よく笑う。あと仕事の目標というのは今までずっともってきたのですけど、趣味の目標というのをもつ。たとえば今だったら、ホノルルマラソンに何年後に出たいな、とか本当に趣味で何か目標をもって、それに一生懸命取り組むということは本当に大事かなという感じが特に最近はしていますね。そういうことを心がけています。
やはりそういう挑戦する気持ちが、何か抗がん剤に匹敵するくらいの威力があるんだというような、それは証明されていないのでわからないですが、そういうことをしないよりもしたほうがいいかと思って、歩くとか簡単なことをしています。」
「ずっと、ご飯と肉、ご飯とから揚げという食生活だったので、やはり今は生野菜をとるように心がけています。あとは、水ですね。『水をとにかくたくさんとるといいよ』というのを聞いて、なるべく水道のではなくて、『安いのでいいからたくさん飲み』と言われたので、1日2リットルぐらいは飲むようにしています。2リットルで69円とかなので、それを大量に買って飲んでいますね。便通はちょっとわからないのですけど、水というのは何かやっぱりしっかりとることで代謝が上がって免疫力が高くなるというのを聞いたので、水は安いし、水だったらいいかと思ってとっています。
がんとわかって実はたくさんのいろんなものをいただいたりしたのです。ビタミンとか、フコイダンとか、アガリスクみたいなのとか、漢方みたいなのとか。ありすぎて何を飲んでいいかわからなくて、せっかくもらったので順番にいろいろ飲んでいたのです。かといって、その何かがんが消えるとかよく言うのですけど、飲んでいたら消えるからと言われても、1回出て見つけてしまったものは・・。そういうものを推進している病院もあると思うのですが、僕の行っていたところは違ったので、『飲んでいるから手術やめます』というわけにはいかないじゃないですか。だからそのへんは僕の中ではまだ解明できていないのです。今はとにかく水はいいかなと思い、心がけて飲んでいます。」