「娘には、伝えるのをすごく考えましたね。伝える前に、どんなことをどういうふうに話そうとか、いろんなことを思って、手紙を書いてみたり、いろんなことしました。私も最初はやはりたいそうに思っていますし、特にがんというのがまだ初期ではあっても手術するとなるとやはり恐いんですね。失敗すると、もしかしたら帰って来られへんのかなとか。縫合不全を起こしたあとの手術では、もしかしてこういうのが続いて、帰られへんとかあるのかなと思って、思わず“もし・・・”みたいな手紙を書いてみたりしました。

そういう中で、伝えたいことというのがだんだんと詰まってきて、娘に直接伝えました。結局、娘は『がんて何なん？』みたいな感じでしたね。何なんていうか、『うそやろ』みたいな最初は何かそんなのが混ざったような反応でした。家内には、『お父さんがおれへんとき、ずっと泣いとったで』と言うのを聞いたのですけど。だから、そういう中で家族の絆みたいなのが深くなったな、という感じがします。

がんて何なん？ていうのには、誰も何も言わずに、流れて行った、という感じですね。てん、てん、てん・・みたいな。何なんて言われても、家内も黙っているし、僕も黙っている。『ま、でも大丈夫や』みたいなのから次は始まったという感じです。」