「人工肛門だと、障害者手帳では障害等級が4級、厚生年金保険法では障害の3級になり、3級に該当する人は障害厚生年金をもらえます、というのがあるのです。
これはラッキーだったのかもしれませんけれども、たまたま総務にいて、そうした手続きをしていたので、何かこんなのあったなと思って調べてみると、もらえる資格がありそうだというので、手続きに行ったのです。そうしたら2年間遡って、月々いくらという年金が出ました。それでも十分に足りました。20歳に入社して58歳ですから、いわゆる加入期間が長いのです。ですから、その分の給与は相当大きいのですね。こんなにありがたいものかと思いました。ですからそれも患者会の案内の中で、『こういうことがありますから、必ず窓口を訪ねてくださいね』と文章を入れて、手続きがもれないようにしています。
だいたい月に10万円位だと思います。所得制限がないので、給料は給料でもらって、障害厚生年金は厚生年金でもらう。抗がん剤は1日1500〜2000円ぐらいでしたから、たいへんな金額ですが、厚生年金のおかげで賄えたというか、十分に助けられたということです。
たぶん知らない人もいるのではないかと思うのです。病院の先生に、『こういう手続きするので診断書を書いてほしいのです』と持って行ったら、『はじめて見ました』と言われました。ですから、そういう情報に接する機会のなかった人は、ひょっとしたらもらっていない可能性があると思います。」
「保険は、入院保険のついた普通の生命保険と、がん保険に入っていました。がん保険に入った動機はきわめて不健康というか、会社である保険会社の印刷物を受注するので『関心のある人は入りましょう』と、当時のいちばん安いのに入ってということです。あと生命保険は普通の生命保険で、入院保険がついているもの。その2つで2回の手術はまずほとんど賄えたと思います。」
「タクシーは確か10%割引になると思います。『障害者手帳を使いますからね』と声をかけると、降りるときに向こうでも番号を控えます。航空運賃も安く、JRは100キロ超える分は、普通乗車券が半額になり、JRバス、地下鉄は半額です。
交通機関が半額になるというのは非常に嬉しいのですよね。やはりついつい出歩くのを渋ってしまう人が多いのです。金額だけではないのかもしれませんが。半額で行けるなら、とにかく街に出て人と出会って、家に籠っていたら見つけられない世界があるので『出かけましょう』と話しますけれど。そういう点では交通費が半額になるというのは非常にありがたいことです。」