統合失調症と向き合う

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堀 澄清さん
堀 澄清さん
(ほり すみきよ)
1937年生まれ、75歳。18歳で精神科を受診し、その後、10回の入院を経験する。自分の病気を知るために様々な書物を読んだという。現在は、社会福祉サービスを上手に利用しながら一人暮らしをしており、隣の家には女性の友達がいて、穏やかな日々を送っている。
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545歳からの生活
Q.45歳からの生活状況を教えてください

「45歳の時だったと思うんですけど、新聞に、埼玉県でははじめて100%開放病棟の精神病院ができたという新聞記事を見つけまして、電話で病院に問い合わせてみました。病院の周りを見て、窓に格子はありましたけど、2回目か3回目の時、婦長に面会を申し込んで、朝から行って断られましたけど、ずっと待っていたら勤務時間の終わる寸前に面会を許されて、病棟を案内してくれました。

出入り自由でした、ほんとうに。格子はありましたけど。(午前)6時に鍵を開けて、消灯の寸前まで基本的には出入り自由だと。だけど、夕食が済むと、椅子は置いてあるので、タバコを吸う人は外に行きますけど、ほとんどの人はあまり外に行かないというようなことを言われました。どうも(婦長の)言うことは本当らしいというので意を決して、朝から夜まで開いていますから、気に入らなかったら逃げて帰って来ようと思って入院したのが3回目の入院でした。自分で想像していたよりも居心地が良かったので、以後そこに8回入退院を繰り返して、全部で(10回となり病院暮らしが)10年と6か月になったんです。」

Q.その後はどうしたのですか

「45歳から62歳までの間に8回入退院を繰り返しました。どんなに先行きのことを考えても、お世話になるところに登録しなかったら、この先やっていけないという状態で、そうするとマイナスがもっと増えるわけですよ、自分の人生の。プラスは何にもないわけですから。ものすごく迷って、1年間迷いました。

その時はクリニックに通っていましたので、クリニックのPSW(精神保健福祉士)の人に相談しましたら、そういうお考えだったら紹介しましょうと(やどかりの里に)紹介状を書いてくれて、面接したわけです。今登録しているところで面接してくれた人が、僕にとって、なんて言うか、初回の面接の方はとても安心感の持てる人でした。1回目の面接の時に本部に行って、もう1回面接をし直しましょうということで、日時(ひどき)を決められて、それがきっかけで今のところに登録してから現在も所属しているということになっているわけです。非常に満足しています。」

Q.病名をつげられたのはいつですか

「病名をつげられたのは、ここ(やどかりの里)に登録してからあとですよ。薬は与えられましたけど何も言われないから。あとは大雑把に言うと、最初は心理学の本が8割ぐらいで、精神医学の本はせいぜい1割ぐらいだったと思うんですけど、それがだんだん心理学の本もほとんど読まなくてもいいぐらいになって…。

精神医学の本を片っ端から読んだわけですね。だから、専門家が読む、いわゆるほんとの精神医学書なども、図書館に通って読んだりしました。」

Q.以前に、病名について医師に尋ねたことはありますか

「そうなってから、なんて言うか、『僕の病名はこういうことですか』と今の主治医に面と向かってお訊ねして、オッケーというか…。

僕は、病名は言われなくても、『療養の仕方で気をつけなければいけないことはこういうこと』、それから『現在の精神医学では、薬は症状を抑えるという意味で飲み続けなければいけない』ということは、100%明言してほしかったですね。」

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