統合失調症と向き合う

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堀 澄清さん
堀 澄清さん
(ほり すみきよ)
1937年生まれ、75歳。18歳で精神科を受診し、その後、10回の入院を経験する。自分の病気を知るために様々な書物を読んだという。現在は、社会福祉サービスを上手に利用しながら一人暮らしをしており、隣の家には女性の友達がいて、穏やかな日々を送っている。
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10インタビュー協力の動機
Q.インタビュー協力の動機を教えてください

「僕が経てきた悲しみと苦しみと絶望感と、自分を死ぬことによってけじめをつける以外に道がなくなるような、言葉にできないようなことを、僕より遅れて発症した人、もっと若い人には1万分の1でも小さくしたいからですよ。

それから、今健常者には、(2011年)7月の6日に精神疾患が5大疾患に入って、5大疾患の中で一番患者数の多いのが精神疾患なんです。精神疾患の場合、医療機関につながっていても、精神科を絶対拒否して、心療内科(部)門のほうで、完全なる内科に行っている人がものすごく多い。その人達を入れなくても精神疾患の患者が一番多いですから、その人達も入れるともっと多いわけです。

可能な範囲内で、真っ当な精神医療を気軽に受けられる、そういう日本に早くしないと…。僕が最初の医療機関に行った時は、調子が悪いなあというだけで、病気という意識はなかったんだけど。心の不調は肉体の病気よりももっとはるかに繊細だから、早く医療機関につながったほうが、予後が大枠では良いんですね。僕は、発症して半年ぐらいで医療につながっていますから、古い割には今の状態が良いのは、医療機関につながったのが早かったということも大きな理由だったと思うのです。

で、可能な範囲内で猜疑心とか人を疑うのではなくて、親父に今日も守られてなんとか無事に寝床につくことができた。朝は彼女と一緒にお茶を飲むことでかけがえのない良い出発であったと、そういうことに毎日感謝して生きています。

だから、遅れて発症して今苦しんでいる人達にも、どうか、自分の気持ちはほんの少しでも落ち着くというか和むというか、そういう感情を自分の中に増幅していくように、5秒でもいいから、1日に心がけて(ほしい)。それが10年やると5秒が3分ぐらいになるので。5秒と3分は違いますよ、ずいぶん。そういう差はあると思いますから。

長年月の間では、遠方の場合ははるかに離れている遠距離になるわけで、1日やひと月や1年で良くなろうというのではなくて、一生涯の病気なわけですから、1日に、ほんとに見つけ出すことができないぐらいの小さな差を積み重ねていこう…。若いうちに僕みたいになる人も、今は、だいぶ支援体制が整ってきて、医療機関などでも病名ははっきり言って、主治医によっては療養の仕方を具体的に1つ1つ指示、主治医の場合は従うというのではなくて、選択できるように話してくださる。医者が主人公であるわけではないですから、あくまでも一緒に歩いてくれる人なので、そういうふうに選択できるようなやり方で、丁寧に教えてくださるお医者さん、PSW、臨床心理士、その人達のチームによって自分が守られていくようなお城を作っていくように努力してほしいと思っています。だから僕と同じ苦しみは、もうほんとに味わってほしくありません。」

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