統合失調症と向き合う

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N.K.さん
N.K.さん
1982年(昭和57年)生まれの32歳(収録時)。18歳の時に発症。現在は就労移行支援事業所でスタッフとして、利用者にパソコン入力などの指導に従事している。数年前から症状がコントロールでき、医師からは「寛解した」と言われているという。障害年金を受給しているが、いずれは受給無しまで回復したいとの展望がある。実家で両親と同居。
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5病気について
Q.ご自身の病名を知った経緯を教えてください

「入院中に、だいたい半年後に正式に退院する直前ぐらいの時に、当時の精神分裂病ですと、今で言う統合失調症ですけど、主治医からはっきりと言われたのです。けれども、私の妄想の中では、『これは別に、私をだますための適当な病名だから』というふうに勝手に解釈していましたね。

それで、統合失調症ということをメディアでもあまり取り上げることが少なかったように思うので、どういう病気なのかもその時は知らなかったですし、どういう症状が主な症状なのかとか、その時点で知っていなかったことが、自分の病識を持つのに遅れた原因の一つなのではないかなというふうに思います。あらかじめこういう病気がある、この病気はこういう症状が出やすいといったことをちょっとでも知っておけたら、少しは治療が、もうちょっとスムーズにいったかもしれないなと思います。」

Q.自分の病気について知った時に感じたことはありましたか

「(病名を)言われた当時は割と安定した状態だったので、自分から前向きに、ああ自分は統合失調症なんだなっていうことに気づけたので、むしろ自分が引きこもっていた頃にそれをすごく意識していましたね。なんか引きこもって家の中で悶々としている時に、『あ、みんな俺のこと統合失調症だと思ってるんだなぁ』とか、すごくコンプレックスになっていたので、その頃はすごく意識していました。

『寛解した』と主治医から言われた時ぐらいから、ほんとうに別にそんなに気にしなくなりましたね。『別に自分が統合失調症であろうがなかろうが、別にそんな関係ないやぁ』というふうにちょっと思えるようになりましたね。」

Q.病気を認識したのはいつ頃ですか

「これが割とてこずりまして…。デイケアは卒業したのですけども、自分の中でエピソードみたいものがあって、あれはやっぱり誰かがそう差し向けたのではないかとか、仕組まれていたのではないかとか、なかなかそういうの(考え)が根深かったので、そうですね、4年ぐらいかかってしまいましたね。

4年ぐらい時間をかけて、自分の、『あれ?でもそんなことって誰にでもあるよなぁ』とか、『こういうタイミングって世の中にあることだよな、そもそも俺なんか別に見てて誰が得をするんだ』という、自分の中の考えが矛盾しているということに徐々に徐々に気づきはじめて、自覚できた時に、妄想だと気づいて、『あ、私はちょっと、統合失調症なんだな』と思って、それで真剣に治療に取り組もうという覚悟というか思いが強くなりましたね。」

Q.妄想はなかなか取れないものなのでしょうか

「そうですね。普通に『これはこうでしょ』と理論で説明してもたぶん水掛け論、堂々巡りになって(しまう)。私も1回、私と似た症状の人の説得を試みたのですけれど、ほんとうに1度接してみたら分かると思うのですが、ほんとうに強固なのでなかなか根深いのだと思うのです。1つのエピソードエピソードが、もうその人の中で確信を超えるぐらいの強度になっているので。

なので、薬だけではやはり妄想は治せないと思うので、これは本当に、なんだろう?時間をかけて、自分を客観的に見つつ周りもアドバイスしてあげるしかないのかなぁと感じます。」

Q.病気を認識したあと、考えに変化はありましたか

「とりあえず『なんかやりたいことやらないと』、『なんか生きる目的がないと』みたいな感じで、結構必死でしたね。

今までは、金は腐るほど将来を(は)待っているんだとか、そういう意味不明な希望があったので、毎日楽しく暮らせていたのですけど、急に一精神障害者みたいな、すごく社会的にも地位も低くて、自我を保つのも難しい感じで、当時23〜24(歳)で、周りの同級生などはみんな仕事をしたり結婚したりする時に、自分だけぽつんとしてしまったような感じだったので…。

その時は、たまたま、ま、ありがちなのですけれども、割とこの病気は音楽好きな人や(音楽に)影響を受けやすい人などが多いと思うので、その流れかもしれないのですけど、ずっとやりたかったエレキギターを始めまして。それでまあ、これをやりながら、『ちょっと目標でも探さないとなぁ』みたいな感じで、悶々と過ごしてはいましたね。」

Q.病気について自分で調べたことはありますか

「治療に頑張って取り組もうと思ったあたりから、結構病気についての本を読んだり、いろんな人と話をして…。ま、主にそうですね、本を買っていましたね。実用書とか、薬の本とか、パソコンで調べたりとかしていました。

それで、この病気ってこういうことがあるんだなぁとか。その頃、人体の仕組みとか内部分泌物とか、そういうものにすごく興味があって。それで薬も元を辿るとこういう物質なんだなぁとか、ちょっと健康マニアっぽくなったりもしていて。

それで、そこから主治医に『これこれこういう症状だから、この薬のほうが副作用も少ないし俺の症状に合っているんじゃないか』みたいな感じで交渉して、薬を変えてもらったりもしたのですけど、最初のうちはやっぱりうまくいかなかったですね。」

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