「仕事は、デイケアを卒業したタイミングで、妄想も残りつつなのですけれども、1度清掃のアルバイトに就きました。1年半ぐらいですね。
清掃を選んだ理由も、あまり他人と関わったり自分と同年代の人と接したりコミュニケーション、健常者の人とコミュニケーションを取るのが苦手だったり…。自分の根底にある価値観みたいなものがすべて妄想というフィルターがかかっているので、どうしてもそれをやっぱり人に話すとうまくいかない、周りからも浮いてしまう。そういうことでちょっと疲れやすさもあったので、時間短めの、あまり人と話さなくていいような仕事を選んでいた気がします。」
「4年ぐらい前の段階で、今の状態に近い状態になったのですけれども、職歴とかが、2年ぐらい遡らないと無いような状態になってしまったり。あとデイケアとか作業所にどこにも属して、作業所に一応籍はあったのですけれども、通所することができていなかったので、欠勤扱いというか休職中みたいな感じだったので、『ワークサポート杉並』というところに行って、仕事探しを手伝っていただきました。
本当はその当時、住民票が(別の)某市だったので、某市の就労支援機関みたいなところにつなげて欲しかったのですけど、某市の場合は、作業所の同意がないとだめと言われてしまって。その時、作業所に通えていない状態だったので、もちろん作業所も『まだちょっと同意はできないですねぇ』という感じだったのですけど、(ワークサポート)杉並をあたったら、『職歴が、遡ってでもいいので、ある人だったらいいですよ』みたいな話だったので、藁(ワラ)にもすがる思いでそこに通いました。
病気になってから働いていた職歴が、普通の人からしたら1年半というのは短いと思うのですけど、病気にしては結構続いたほうなのではないかと、これだったらまだ探せる見込みがあるからと言われて、すごく心強かったのと、ちょっとほっとしましたね。
(ワークサポート杉並は)たぶん区役所とか保健師さんとかに聞いて探したのだと思います。」
「最初のうちは清掃をメインで探していたのですけど、ちょっとやっていくうちに、事務でも大丈夫そうだなとか、他の業種でもいけそうだなみたいな、徐々にちょっと自分に余裕がでてきて、それで事務職とかデスクワークとか割とかっちりした仕事に就きたいなと思って、事務職に絞って探していたのですけれども。
短時間の事務職。主治医から週20時間ぐらいにしてくださいと言われていたのでそれで探していたら、やっぱりなかなか短時間の事務職というのは、競争率が激しいので、ま、震災を挟んだというのもあるのですけど、ちょっとなかなかうまい具合には決まらなかったのですけど、受け続けていたら今の会社に通りました。」
「ずっと職場は一緒なのですけど、最初は主に事務作業をやっていたのですね。それで事務作業をやっていて、結構、私の事務のスキルが上がってきて、データ入力の作業とかすごく精度が高いということ。それから、昼休みとかに就労移行支援施設の人達と一緒に食べていたので、その時のたぶんコミュニケーションの取り方とかを見ていたのだと思うのですけれども、上司のほうから、利用者の対応業務をやってみないかと持ちかけられまして。自分にそういうことができるかなぁとちょっと不安もあったのですけど、それができるようになったらすごく仕事の幅も広がるしなあと思ってやってみました。
利用者さんの将来に関わることなので、いちばん大事なところなどは、まだ私はタッチしないようにして、私は主にパソコンを教えたりとかということを通じて、今、ちょっとそのスキルを磨いているところですね。私が事務でやっていた時にパソコンの資格*を結構何個か取ったのでそれを教えつつ訓練を補助している感じです。
10代の頃にパソコン教室と専門学校の間ぐらいの施設に通っていまして、そこで基礎を学んでいたのと、元々ゲームなどが好きだったのでパソコンはすごく得意です。」
*以前のように勉強しても頭に入らないという状態ではないため、国家資格を含めてもかなりあっさりと試験に合格したので、特に苦労した点はありませんでした。さらに高度な資格の取得も考えましたが、現在の仕事に求められる部分が少ないので、今は仕事に役立つ勉強をしています。(N.K.さんより)
「やっぱり就労移行支援施設でも作業所でもデイケアでも、やっぱある程度実績を作ってくれないと、こちらもやっぱり動きにくいというのがあるので、いちばん分かりやすい実績というのが、やっぱり通所だと思うのですよね。安定して通所できるようになってから、やっとスタートラインに立つのではないかな。
そのスタートラインの前にあるのが、安定した服薬とか規則正しい生活というのが背景にあるのかなあと思います。ま、眠れないとか多少あるかもしれないですけど、寝れなくても、次の日に行けるぐらいの余裕がちょっとある感じが必要なのだと思います。
コミュニケーションは、もうちょっと先の話なので、まず、最初の目標としては、今ある施設とかそういうところに安定して通所できるように、規則正しい生活をすることがやっぱり、面倒くさいかもしれないけど、第一歩なのではないかなというふうに思います。」
「私も、たまに聞くのですけれども、特例子会社などだと、ほんとうにコミュニケーションを苦痛に感じる人には、なるべくコミュニケーションを取らないでもらって作業をするような仕事の割り振り方をしている会社とかも増えてきていると思うので、自分はコミュニケーションが苦手だから仕事はできないだろうとか、そういうふうに思ってしまうのは、すごくもったいないと思いますね。」
特例子会社:障害者の雇用義務は個々の事業主に課せられるのが原則であるが、一定の要件を満たした子会社を設立すれば、この子会社で雇用された障害者を「親会社の雇用」とみなしてよいという特例があり、その特例に基づき設立されるのが「特例子会社」である。1987年の障害者雇用促進法の改正により法律上規定された。
「やっぱり最初にどこに行っていいかという窓口が分からなくて、そのまま市役所とかでたらい回しにされて、そのまま結局もう嫌だといって、その辺の段階にいる人は、結構ちょっとしたことで心が折れるきっかけになると思うので、もうちょっと分かりやすいナビゲーションがあればいいなあと思います。
それで障害者枠、私、今オープンで働いているのですけど、オープンで働いたほうがやっぱり働きやすいなぁというのが…。私もクローズを2社経験してきたのですけど、やっぱり、さらけ出して、オープンで自分の病気を開示してやったほうが、例えば、『体調が悪いのでちょっと今日は帰えらせてください』とか言うこともありますし、会話の中でも、薬が、なんか眠いんですよねぇとか愚痴をこぼせたりもするので…。ま、賃金がちょっと安めのところはあるかもしれないですけど、やっぱりオープンのほうがいいかなと、私は考えます。」