「実際（くすりが）効いているときは、ほとんど痛みを感じないです。痛みを感じない域というのがあって、その領域をつかむためには、訓練（が必要です）。つかむとスルッと逃げちゃったりするわけでしょ。逃げるということは、くすりを多く飲まなきゃいけないということなのだけど、要するに自分自身が悪化しているとは心理的に認めたくないのだよね。だからどうしてもくすりを飲む量が少なくなって、くすりの量が後追いで増えていくと。そうすると痛みが出現する率が高くなって、やはり自分が損しているわけ。それは頭ではわかっているのだけど、どうもその多く飲むということが『お前悪くなってるんだよ』と頭の誰かさんに言われているみたいで、飲むことに対して消極的な私がいるわけですよ。

だけど、それではやはり痛みのコントロールもうまくいかないと思い出したのはやっと最近です。緩和（ケア）の先生からすると『（くすりの増量＝悪化ではないと何度も説明しているのに）しつこいヤツだなー』と思っているかもしれないと思いますよ。だけど心理的にはそういう状態が私の中でせめぎ合いをしているわけです。だけどやっと、そのせめぎ合いも自分自身で解決して・・・という状況になってきたのが最近です。何の意味もない闘いをしちゃっているということなんですかね。」