「ひとりで悩まないで、どなたかに一言お話してみられたらどうかなと思います。それは、もしかして病院の待合室、お隣に座っていらっしゃる方も同じ病気で同じように悩んでおられるかもしれません。ちょっと声をかけてお話してみられると、少し解決することもあるのですね。患者会じゃなくてもいろんな場所で、一歩ちょっと前へ出てみて声を掛けて仲間と話をしてみるということが、いいような気がします。」
「自分ががんを体験して、また家族が体験しまして、やはり自分自身より家族が病気になったときのほうが辛いのだな、ということをとても感じました。常にそばについて、『いま気持ちはどうなんだろうか』と推し量ることはとても精神的に重圧なのですね。それをずっと抱えていると一緒に共倒れになってしまう可能性もありますので、ときには家族のために患者さんが入院されるというシステムもありますので、そういうのを利用されて、少し家族の方も休む時間を取られるのが大事じゃないかなと思います。決してそれは怠けていることではなくて、これからのお互いのために必要な時間なのだと思って、そういう時間を取っていただけたらと思います。
自分のときのことを考えると、自分は自分の病気と闘っているだけでいいのですが、家族ががんになると、その人の状況や、病気の状況も知らなければいけないし、その人がどういう気持ちで、どういうふうにこれから過ごしていきたいのかということを推し量ることも必要な気がするのです。また経済的なこととか、そのほかいろいろな社会的なこと全部を家族が背負うようになりますので、やはりご家族の苦労はたいへんだなと思います。」
「いま、在宅医の先生でそういう勉強されている方が広島市内にもずいぶんたくさんおられますので、そういういい先生に出会われることですね。私もいま、在宅医の先生に主人を診てもらっているのですが、いろいろな相談にのってくださいますし、家の中を実際見てくださっているというところが私自身はとても安心感があります。
がんの治療は保険がきいてもかなり高額なのですね。わが家だけではなく、本当に皆さん、命をとるかお金をとるかという究極の選択になる場合が多くて、とてもそれは大きな問題です。」