がんと向き合う

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西山 浩さん
西山 浩さん
(にしやま・ひろし)
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1964年横浜生まれ。極度の腹痛が3〜4年間あり、2004年6月に知人の勧めで内科を受診。大腸検査でS状結腸に腫瘍が見つかり、翌7月に切除手術を受けたところ、ステージ(病期)4の虫垂がん(S状結腸まで浸潤)と診断された。2006年膀胱に再発し、腹膜播種を手術。2007年末肺に転移が見つかり、翌年7月に手術。現在は経過観察中。2008年リレー・フォー・ライフin新横浜実行委員。ブログ:MY HOME TOWNTwitter
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1差し込むような痛み

「もう数年前から腹痛がけっこうありまして、立っていられないくらいの痛みがあったのです。場所は胃のあたりから下のほうです。差し込むような感じのような痛さで、本当に立っていられないくらいです。それも痛みはすぐになくなるので、お腹の痛いぐらいは大丈夫かな、とそのまま放置していました。痛みを自覚したのは3〜4年ぐらい前からです。

病院に行くきっかけは、熱が出て風邪かと思っていたのですが、たまたま知り合いの医療関係者と話をしていたときに、「風邪でなくても熱は出るよ。もしかしたら内臓で炎症を起こしているのでは?」と言われて、病院に行くように薦められました。自分でもこれはヤバイと思ったので、病院に行って検査を受けることにしました。

近くに総合病院があり、風邪をひいたときなどの行きつけの病院だったので、そこへ検査を受けに行きました。」

●大腸を検査する

「病院に行くと『どこが痛いのか』と聞かれて『お腹の下のほうが痛い』と話すと、『これは大腸の検査をしたほうがいい』と言われました。それで大腸のエコー(超音波)検査とバリウム検査を受けました。

最初にエコー検査を受けているとき、技師さんが画面を見ながらちょっと変な顔をしているのです。普通ならなんともなく操作しているはずなのですが、何かどうも異常なものが映っているような顔をしていたのです。その技師さんが上の人に代わってもらい、その人が見たときにもやはり同じような『あれ、これは何だろう』という表情をしたので、これはただごとではないなと思いました。本当なら1週間後に検査の結果が出るのですが、気になるので『今日すぐに検査の結果を出してほしい』と話して、少し時間をおいて検査の結果を聞くことになりました。

そのあと大腸バリウム検査をしましたが、バリウムを入れた瞬間にもうバリウムが入らず、途中までしか撮影ができずに検査は中止になってしまいました。検査の結果を2時間後に聞いたときに先生から、『腸が腫瘍で塞がれています。これはすぐに手術をしなければいけないので、今日から入院してください』と言われました。腸が水と空気しか入らない状況まで来ているので、『今から一切飲んだり食べたりしないで』と言われて、その日から入院になりました。『悪性の腫瘍がある』と言われたので、悪性の腫瘍というともうがんしかないなと思いました。あと仕事があったので、仕事をどうしようというのがまずありました。」

●入院してさらに検査

「そのあと何日か様子をみて、大腸内視鏡検査を1度やっています。その結果が出たあとに正確な診断がありました。告知されるまでは2週間ぐらいです。その間、食事は一切なく、栄養剤の点滴だけで水も何も飲めない状態でした。手術は全身麻酔で開腹手術という話で、腸の手術なのでもしかしたら人工肛門になる可能性もありますと言われました。また腸の下に足につながる神経があるので、もしそこを傷つけた場合は、歩けなくなる可能性もあるという話もしていました。」

●胃ではなく腸だった

「自分はどこが痛いのかを正確に言えるかどうかによって、診断が変わってきてしまうのです。いちばん最初にお腹が痛くなったとき、まず“胃が痛い”ということが念頭にありました。病院で診察を受けたごきに、『どこが痛いのですか』と言われて、『胃が痛い』と言いました。『胃が痛い』と言われたら、医者もそこしか診ませんので、『では胃の検査をしましょう』となり、胃のバリウム検査をしたり、レントゲンをとったりはしました。しかしその時点で胃はなんともないので、検査をしても“異常はない”としか出ないのです。それで自分は『大丈夫なんだ』という勘違いをしてしまい、本当は大腸のほうが悪かったので、(がんは)どんどんどんどん進行していくというかたちになります。ですからその時点で胃ではなくて大腸だとわかっていれば、もう少しステージ(病期)も変わってきただろうし、治療ももっと早く始められたのではないかとは思います。」