「舅姑のいたときには夢中で生活して、夫婦で慰めあったり、お互いにかばいあったりしていたのですが、両方を送ってから、主人もすごく気がどこかで抜けて、私もちょっと肩の荷も降りてきたといったときに、夫婦の仲もやはり子供も、本当にいろんなことがありました。
そのとき私はお酒も嫌いではなかったのでお酒を飲んで、アル中ではないからと思いながら、お酒もタバコもやっていて、めちゃくちゃな生活を10年以上していたと思います。
還暦を境に私はもう自分の生き方をはっきりしなければいけないと思ったときに、がんが見つかったのです。私はもう自分の人生、『負けた・・・』と思いました。そのとき本当に『もうだめだ・・・』と。それと『あ、死ぬんだ・・』と思ったのです。
ですから、がんになった理由というのはもしかしたらそういうストレスと、私の心の悩みが原因だったのかもしれません。そのとき私は、『がんで死んでしまうかもしれない、負けた・・・』と思いましたが、『負けたくない』という気持ちと、そういうのもすべてあって立ち直ったというか、もう1回自分で(立ち直ろう)というふうになったのです。
60歳になるまでは、うちは自営なので事務の仕事を手伝っていたのですが、がんになってからは会社を一切抜けて、勤めていた娘が『じゃ、自分が入るから』と私の仕事を引き受けて、私は引退しました。でも2年ぐらいしてだんだん治って元気になり、歳をひとつ取り、ふたつ取ってくると、今、私はこの会社にいなくてはならない存在ではないけれど、一応経理の支払いのことを全部やっています。私ががんになって、主人もそれではいけないと思ってけじめをつけたみたいで。これからはもうやはり仲良く暮らすのがいいのかなと思えるようにもなり、そういう前向きな気持ちになっているのもいいのかなと思います。
口に出して言わないほうが本当はいいのかもしれないけれど、やはり自分の病気と戦いながら、その主人との夫婦のことはすごく大きな比重を占めていると思うのです。何もなく幸せにしていても病気になるかもしれないけれど、そういうものもあって病気もそういうところから出てきたし、そういう生活のなかでやはりお酒もタバコもしたらいいわけないですよね。がんになってつらい思いをして、今はタバコを吸わないけれど、先生に『お酒を毎晩飲んでこうだったのです』とお話ししたら、笑っていました。」