1はじめの症状
「診断を受けたのが12月で、その半年ぐらい前からお腹がグルグルとよく鳴っていました。朝昼ちゃんと食べているのに、日中ずっとグルグルグルとお腹の虫が鳴くのです。そのうちお腹が張ってきて、暫くすると下痢になりやすくなり、そのうち便にどす黒いタール状の血が混じるようなりました。それがどうも治まらなくなったので、ちょっと診てもらおうと、近くのお医者様のほうに行きました。
先生が状況を聞いて、触診と大腸内視鏡検査で見られて『これはちょっとまずいかもしれない』と。そのときは具体的に何も言われなかったのですが、『大きい病院のほうに行ったほうがいい』ということで、先生のお知り合いの中核病院の先生宛に紹介状を書いていただき、そちらへお伺いしました。」
●がんの告知
「中核病院の先生に『ご家族の方は来ていないの?』と言われたのですが、もともとそれは前提としてありませんでしたから『(来て)おりません』とお返しすると、『だったら仕方ないね・・・』とその場で、『これはもうだいぶん大きくなっているけれども、悪性腫瘍です。このまま放っておくわけにはいかないから、もうこの場で手術の段取りを決めないと』というお話でした。私自身も突然だったので、変な話ですけど『そうですか、たいへんですねぇ』と他人事のような返事をしたのを憶えています。」
●人工肛門になるということ
「結局、腫瘍ができていたのは肛門から3cmのところでした。先生は『うまく残せるなら肛門括約筋を残しておくけれども、もし無理だったら全部取りますよ。そのときには人工肛門になります』というお話で、お腹を開いて大掛かりな手術になるということでした。
がんだからショックを受けたというのではないです。『先々どうなるのかな・・・』ということが、やはりいちばん気になっていました。」