3心と身体の痛みにチームで対応
「九州大学では、まず外来化学療法室に緩和ケアチームを設置いたしました。そのなかで痛みに関する対応、うつ状態を含めた精神的な対応、それからたとえば呼吸困難・食欲不振・倦怠感といった身体的な対応をきちんとしようということで、心療内科、精神科、麻酔科のペイン(痛み治療)の先生、そしてそれぞれの身体科の医師が集まって、また看護スタッフ・薬剤師も一緒になってチーム医療を始めました。その後、2007年の春から病院全体の緩和ケアチームが設立されました。同じようにそれぞれの専門家が集まり、がんの症状で苦しむ患者さんに対して総合的な立場から診ていこうということで現在、入院・外来の患者さんを問わず緩和ケアにチーム医療としてあたっているということです。
外来に通院しているがんの患者さんを対象に調査させていただいたところ、だいたい7割ぐらいの方がなんらかの抑うつ状態があり、しかも自分自身ではそのことをあまり自覚しておられないということがわかりました。そういう意味で私たちは、基本的にがんの患者さんはなんらかの精神的なプレッシャー、あるいはそれに伴ううつに近い状態にあることをまず考えておくべきだと考えています。難しい方に関しては、自分たちだけで、つまり身体科の医師だけで対応しようとは現在考えておりません。むしろ、心療内科や精神科の先生方に積極的にご協力いただいて、そのうえでチーム医療をする、これがいちばんだと思っています。」