6緩和ケア医療を志したきっかけ
「私自身、ものすごく痛いことや苦しいことが嫌いで、小さい頃から『どうやったら苦しまずに死ねるのだろう』というようなことを結構考えていました。そうしたなかで、学生時代に山崎章郎先生の『病院で死ぬということ』という本を読み、『あ、これがやりたい』と思いました。それがきっかけです。 やはり患者さんに喜んでいただいたときが、いちばんうれしいですね。たとえば、今まで痛みのためにずっと寝たきりだったのが、痛みが取れて座れるようになったとか、今まで外に出る気にもならなかったけれども、痛みが取れたからゴルフの打ちっ放しに行ってきたとか、そういう話を聞いて患者さんの笑顔をみると、『あぁ緩和ケアに携わってよかったな』と思います。」
●今後の課題
「WHO方式で多くの方は痛みが取れるのですが、痛みが取れない患者さんもいらっしゃいます。そういう患者さんに対して、どのような治療を行っていくのかが今後の課題であると考えています。ひとつ考えているのは、神経ブロックをもう少し上手に利用して痛みが取れないかということです。それと、患者さんが受けている緩和ケアのレベルに差があると感じていますので、WHO方式を広めるということがいちばんですが、どうしたら多くの患者さんにしっかりとした緩和ケアを受けていただくことができるかというのが、今後の課題だと思っています。」