がんと向き合う

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佐藤千津子 さん
(さとう・ちづこ)
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小腸がん体験者。1971年生まれ。盛岡で服飾の事業、家事、育児をこなすなか、2005年(34歳)に出張先で異様な血便を経験。地元で検査をするも何も見つからず、2007年に専用内視鏡で小腸(空腸)に腫瘍が見つかる。手術後、抗がん剤により延命中、滋賀で腹膜播種専門医の手術を受け、命をつないでもらう。人工肛門を2つ造設。ワクチン療法等を受け、現在も抗がん剤を服薬中。朝晩の瞑想を日課とする。ブログ:千の道
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14アロマテラピーとの出会い

「岩手の病院に入院してお風呂にも入れなくてつらいと思っていたときに、ボランティアでアロマのフットバスを持って回っていた老夫婦の方がいらっしゃったのです。看護師さんたちが『希望の人いる?』と聞いて病室を回ってきたときに、『私、受けてみたい』と言って、『でもお風呂に入っていないし、いいのかなー』と言ったら、『いいんだよー』と言うから、受けてみました。

ご夫婦で『熱いお湯・ぬるいお湯・お水』という3つのバケツを持って、そこにバラの精油を何滴か入れてくれて、(私の)足を入れて熱いお湯を継ぎ足しながら、『どう? 気持ちいい?』と言って、お風呂に入っていない私の汚い足をマッサージしてくれるのです。先ほど言った傲慢な私の性格からは想像もできないような、背中にお花がいっぱい咲きほこるような思いで、『こういう人たちっているんだ』と思い、何か私は『すごく嬉しいなぁ』、でも『すっごく申し訳ないな』と思いながら、『こういうの、私もやってみたい』とそのときに思いました。

状況的にはそこから手術が繰り返されていくのですが、(滋賀から)帰ってきてから仕事もしなければいけないなと思う中で、そういう想いを思い出して、『技術の学校に(資格を)とりに行って、実現させてみようかな』と思いました。退院後、体調がよくなってからそういうリラクゼーション学院みたいなところに行って、手技を習得しました。友達とか、そういったところから始めて、だんだんそれが広がっていったという感じです。」

●朝晩の瞑想で自分と向き合う

「入院中のときに比べると、もうひとりの自分というか、本当に『良い悪い』『これはやめておこう』というのを冷静に思っている感覚は、今はもっともっとありますね。これがうまく説明できないのですけどあります。多分それは人によっては、“直感的に思う”という言葉で言う人もいるかもしれませんし、表現の仕方がいろいろあるとは思うのですが、私の表現からいくと、『もうひとりの自分が後押ししてくれたり、ストップをかけてくれたり』というのはいつもあります。

ヨガをされている方と出会うことがあって、瞑想やいろいろなことがいいんだよと聞いて、座禅に行ったり、瞑想のできるところに行ったり、いろいろやりました。私の中でも瞑想はもう日課になっていて、毎朝、毎夕と朝晩しています。そうしていくうちに、自分の心との会話というか、冷静に物事を判断することができるようになったと思います。

だから“突っ走る”ではなくて、ちゃんと自分に対してどう思うかというのを問いかけることができるようになったと思います。もう“がむしゃら”とか“気がついたらやっていた”とか、そういうことはなくなり、そういう精神をもてるようになったという感じです。」