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「地域生活に移っていくための条件を、3点ほど挙げさせていただこうと思うんです。

1点は、もちろん統合失調症という病状を多かれ少なかれ持っておられるということは、やはり無視はできません。例えば、幻聴とか強い思い込みとか、あるいは物事を誤解して受け取ってしまったり、不安や緊張が高まってしまったり…。統合失調症の方は、そういう症状がお薬が効いて良くなっていても、ちょこっと残っている方も多いですし、些細なストレスでそういう症状が強まることもあります。

精神科の治療を受けること、それからお薬を含めてご自分の体調を整える、維持していくための医療資源を利用することに対して、ある程度の理解をいただいているということが、1つ大事な条件になります。」

「2点目は住居の問題です。何十年と入院しておられる方は自分のお家、住所をなくしてしまっていて、病院が居住地、住所になっている方もいますし、家族、親御さんや兄弟（姉妹）はもう亡くなっておられたり非常に疎遠になってしまって家族関係を失ってしまった方の退院というのは、非常に大きな問題です。

その場合は、私達は、当事者の方達が退院して生活できる場所を作るところから始めないといけません。アパートを借りるのを手伝ったり公営の住宅に申し込みをしたり、一人暮らしだとご本人もちょっと不安、あるいは病状の不安定さもまだ残っている方については、グループホームやケアホームに入居して、そこで生活するスタイルを整えていただく。そういうことも積極的に進めております。」

＊グループホーム：一人で生活するには不安がある方たちが、食事や家事など世話人のサポートを受けながら共同で生活するところ。

「3番目としては、地域、在宅での生活を支えるご家族、友人、ボランティア、そして医療、福祉の支援者のネットワークですね。それを早く構築して、当事者の方が受け入れやすい、フレンドリーな関係を入院中から作っておくということが、第3番目の条件になると思います。」