「これから(の)精神医療の中心になるんだと思うんですけども、アウトリーチ、要するに医療従事者を含めて病院とかにいるんじゃなくて、そういう人たちが自宅のほうに(来る)訪問医療をもう少し発達、発展していけたらね。と言うのは、家族って当事者を連れて病院に受診するというのは結構勇気がいるもので、特に精神疾患の場合は。医療のほうから来てくれればこれはうれしいことであるし、これから精神疾患を患った人たちにとってはもっともっと治療体制が整っていけるんじゃないのかなと。で、今、ACT(Assertive Community Treatment)の手法が全国的に広がろうとしているけども、そういうものが各地域にたくさんできてくれるということは、精神疾患を抱える家族にとっては大変望ましことだと、私は思っています。
大きな病院を出てやる方法も1つの方法だけれども、各病院がそういう体制を取るというのもまた1つの方法ではないのかなと私は思っています。それだと、これからの精神病棟というのはだんだんだんだん縮小される、病院ベッド数を減らすというような方向になってくると経営的にも厳しくなってくるのに精神疾患の人たちは増えているような状態であれば、病院の経営面から言っても、そういう手法をとったほうが、より効率的にも経営的にも成り立つのではないかと思っていますので…。」
ACT(Assertive Community Treatment積極的地域治療):重度で長期の精神疾患を持つ人を対象とし、病院・診療所ではなく積極的に地域に出て、保健・医療・福祉が緊密に連携した治療・支援を、医師、看護師、ソーシャルワーカーなど多職種の専門職によって、生活の場に届けることを目標にした訪問型専門治療プログラムの1つ。アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなどで普及したあと、2003年から国内いくつかの地域で試行的に行われている。(注 精神科医:伊勢田堯)
「それ(早期発見・早期治療)に対しては、私は賛成ですよ。ただ、どこまで早期発見につなげる仕組みづくりができるか、そういうことのほうが大事で、その辺の兼ね合いというか。分からないところに早期発見早期治療に結びつかないところがあって、普段とちょっと違うな、くらいではなかなか医療機関につながらないというところがあって。それ(症状)がずっと続けばそれなりに医療機関とかにつながるんだろうけども。その辺のところがちょっと難しいけども、早期発見早期治療は絶対必要ですよ。」