統合失調症と向き合う

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ぺこちさん
まるさん
(ニックネーム)
30歳、女性。2005年、26歳のとき、当時住んでいた沖縄で発症し2日間入院。退院後、東京の実家に戻ったがすぐに再発し、都内の病院に2か月入院。28歳のときに再発し再入院。退院後はいくつかの仕事に就き、現在は実家で両親と共に暮らしながら、絵を描くなどの創作活動を行っている。
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3入院治療について
●最初の数日間

「その(とき)初めて行った(都内の)病院が、今の先生で、その先生の顔を見たときに、なんか安心して、目を見たら…。ほんとは、連れてきてくれた人に対しても、強引なのはおかしい、私は大丈夫だから、兄に会いたいから兄のところへ行かせてくれってずうっと言っていたんですけど、『もう心配で心配で、お願いだから』って(親に)言われて、それでその先生の部屋に連れて行かれて、注射を打たれたんですね。そこから、その注射がすごく強い注射だったんだと思うんですけど、3日間ぐらい意識がなくて。で、気がついたらベッドの上で、ベルトをつけられて手足縛られた状態で起きあがって、ここはどこだろうっていう感じで(した)。

まず、入院して3日間はまったく意識がないんですね。自分でも覚えていなくて。で、ベッドの上に紙が置かれていて、『あなたはこういうこうこうで入院しました』って。そういう書類的なものを見て、やっと、あ、こういう(ことで)、ここに入れられたんだという気持ちで…。しばらく自分で歩けない状態で、意識も朦朧としているし、よだれは垂れるは、しばらく車椅子で過ごしていた記憶はあるんですけど。」

●大部屋に移る

「少し意識が戻り始めてから大部屋に移してもらって、6、7人いる部屋で、退院まで2か月ぐらい過ごして。今考えると、助けていただいたっていう気持ちでいられるんですけど、そのときは、なんでここに閉じこめられてる(と)。閉鎖病棟だったので外に出られないんですよね。だから、ここに入れた親も嫌だったし、なんで私がここに入れられなきゃいけないんだろうっていう気持ちが強くて、初めは反発していましたね。

でも、どんどん時間が経つにつれて、今日は運動の日ですよとか(が)あって、バトミントンをしたりとか、ゴルフをしたりとか、音楽をやりに来てくれるのを聴いたりとか。あと、先生方も話を真剣に聞いてくれたりとか。その中で満足するにはどうしたらいいかなって、いつも楽しいことを考えて、踊ったりとか。もう閉じこめられているんだからしょうがないって、どこかであきらめて気持ちを切り替えていました。」

●入院中の服薬状況

「たぶん初めは、(薬の)量、多かったと思いますね。薬を飲みたくなくて、口に含んだのをトイレで吐いて捨てたりして。こんなんで麻痺させられて、なんかおかしくさせられちゃうってどこかで思っていたので、そういうことして(薬を)捨てたりしていた。それもばれて、無理矢理飲まされたりして…。

何を飲んでいたのかはわからないけど、かなり強かったと思います。でも、体は疲れているのに脳が休まないっていう状態だったと思うので、とにかく体を休めるように、薬で動かないようにしていたんじゃないかなと思うんですけど。でも私は感覚が研ぎ澄まされていたのにそれが鈍っていくのがすごく怖くて、このまま(病院から)出してもらえなかったらどうしようとか…。」

●親が面会に

「しばらくすると両親が来てくれるようになって、初めはすごく拒否していまして、会いたくない(と)。(面会は)1週間ぐらい経ってからじゃないでしょうかね。初めは拒否していたんですけど、どこから意識が変わったかわからないんですけど、心がまた開いていって…。

なんかもう子どもみたいな感覚になっちゃっていて。笑ったり、今考えるとちょっと面白い行動をとっていたと思うんですけど、でも自分の中では、すごくいろんな真実があって。それは、理解できないだろうってわかっているんだけど、信じていてほしいっていう気持ち、心配するんじゃなくて、信じて、自由にさせてほしかったってずっと思っていました。」

●2か月後に退院

「早く(病院から)出たい出たいとは言っていたんですけど、徐々に外泊、家に帰っていいですよとか、外出していいですよっていうことで、1日何時間だけ外へ出ていいとか、そういう自由をいただけるようになって。で、自分自身はおかしいと思っていないんですよ。だから、今考えると普通ではないっていうのは理解できるんですけど、(当時は)逆に『なんで』っていう感じばっかりでした。

(退院は)すごく嬉しかったですね。やっと自由になれるんだっていう気持ちで、ほんと嬉しくて。で、退院したとき、親も泣いていましたし、そのとき結婚していたんですけども、夫も泣きながら…。

(退院後は)実家のほうで、両親の家でしばらく過ごしていました。周りの人に心配かけて、迷惑かけてしまったっていうことで、すごく申し訳ない気持ちでいっぱいでしたし、自分を責めていた時期もあったし、罪悪感にとらわれていた時期もあったり…。」

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