「同じ病院です。私が結婚する前に入院していた病院に、相手方のご家族が『もう1回同じ病院のほうがいいだろう』ということで入院させてくれたんです。
入院中に、今度はうつ状態がひどくなっちゃったので、たぶん、それで電気ショック療法(電気けいれん療法)を受けたんだと思うんです。あんまり覚えていないんですけど、閉鎖病棟の中で生活をしていて、投薬という感じでした。で、離婚したんですけど、自分の実の家族ともあんまり会えない感じだったんですね。そこ(閉鎖病棟)に1年近くいたのかもしれないです。電気ショック療法をやったせいか症状もおとなしくなったのか、そこらへんも、記憶がとにかく曖昧なんですけど…。」
電気けいれん療法:かつて電気ショック療法と呼ばれたこともあるが、現在は全身麻酔下で筋弛緩薬を投与してけいれんを誘発しない方法(修正法)が主流である。修正法は安全かつ有効な精神科治療法であり、うつ病、躁病、統合失調症の急性期などに用いられることがある。
「(2回目の)入院生活もひどかったので、刑務所みたいなイメージを持ってしまって。一番というかいっぱいあるんですけど…。ライターが紐でつるしてあって、そこにみんなが群がって火をつけて喫煙する場所に行ってタバコを吸うとか、入院する際に紐とか鉛筆とかハサミとか、そういうものは取り上げられちゃうし、下着にはデカデカと名前を書かれてしまったり…。
それから、紐のついたパーカーがあるんですけど、その紐も抜いてくださいと言われて、で、1個だけ抜き忘れちゃったパーカーがあって、その紐がほどけてしまって自分で直そうとしていたら、『自殺しようとしている』とか言われて、屈強な看護師さんたちに押さえつけられて、『何考えてるんだ』って怒られちゃったり。お風呂の時間に並ばされてお風呂の部屋まで行って、洋服脱いだら今度は洗面器を持って並ばされて。計るんですよ、洗う時間何分とか。『はい時間ですよ、洗っていた人はこの湯船浸かってください』って、で何分って言って。で、そうするとまた湯船から出るのに計っていて、はい何分経ったから出なさいとかって。出た人はもう急いで髪の毛拭いたり体拭いたりしてまた並んで、女子の病棟に行くとか。そういうのがなんかすごく非現実的な感じというか、怖かったっていうか。トイレも鍵がなかったり、そういう感じ(でした)。
『命を守るために』という言い方をして、こっちのことを人間扱いしていないような気がするときがありました。そういうのがちょっと嫌だなって思って。精神科に自分で行きたいとか言っていたくせに入院してみたら生活がぜんぜん違うし、とにかくちょっと異様な世界だったというか。20年近く前のお話なんですけど。でも、あとから聞くと、それは精神科の普通の処遇だって聞いたんですけど。
それ(薬の種類)も覚えていないんですけど。小学生の女の子が飲んでも大丈夫な薬だよって言われたんですけど、合わなかったんですよね。なんだろうちょっと覚えていないんですよね。5、6錠飲んでいたと思うんですけど、1回に(1日3回)、そのときは。」