統合失調症と向き合う

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小川奈穂子さん
小川奈穂子さん
(おがわ なおこ)
38歳。10代後半から症状が発現。3回の入院を体験し、現在は月に1回受診。デイケア・ナイトケアを活用しながら安定した生活を送っている。週1回、地域活動支援センターに勤務し障害者を支援している。介護ヘルパー2級の資格を持ち、精神保健福祉士の資格を取るためにゆっくりと準備中。
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12安定してきたと思うターニングポイント
●5、6年前から

「病気と向き合おうと思ったのは10年前なんですけど、たぶん安定してきたのはここ5年とか6年ぐらいだと思います。

安定しているための要素は、やっぱり人と人とがすごく関われたり、入院中はデイケアの人とか外来の人と関われることで症状が良くなっていったし、退院後は今度、外の世界というか、普通の地域の人達と、地域の人達といってもそんなにあれなんですけど、まあ、よく買い物に行くお店の人だったり、ちょっと飲みに行ったりする飲み屋さんのママだったり、なんかそういう人たちと関われるようになってからというか…。」

●地域活動支援センターで働く

「きっかけは、ヘルパーの資格を取って、福祉というかそういう仕事に就きたいと思い始めていたときに、今、勤めているところは前に生活支援センターの時代に登録していたところだったんですけど、資格を取ったその報告みたいのに行こうと思って行ったときに、『今、スタッフの手が足りなくなっているから、ヘルパーの資格も取っているし、ちょうど手伝ってくれない?』って言われて、それで働き始めたんです。もうすぐ4年になるんですけど。」

●地域活動支援センターでの仕事の内容

「プログラムの運営っていうんですか、それをやったり、私は水曜日に行くんですけど、そのときはランチがあるので、みんなと一緒にご飯(ランチ)つくったり片づけをしたり。あとテニスを担当しているので、ルールをちょっと分かっていないんですけど、一緒にコートに行って、テニスのプログラムをしたり、そういうことをしています。生活の上での相談があれば相談に乗ったりとか、ま、ただ聞くだけだったりするときもあるんですけど、そういう感じです。あと交流室でみんなと一緒に時間をすごしたりしています。

(利用者は)日によって違うんですけど、だいたい7、8人から10人ちょっとだと思うんですけど。いろんな人がいますね。もともとは精神の病気を持った人の居場所的な感じの生活支援センターだったんですけど、今は三障害統一になって、いろんな人が…。身体の人、建物の構造上3階にあるので、あんまり重い人は来れないですけど。」

三障害:身体障害、知的障害、精神障害のこと

●ヘルパーの資格を取る

「ここら辺の地域の作業所だったり、当時の生活支援センターに所属している人たち、精神科の病気を持った人たちの施設のスタッフさんたちが集まってピアヘルパー養成講座を開いてくれたんですよ。それで、ヘルパー2級の資格と上乗せ講習の資格を取れて、精神科の人の家にヘルパーとして行けるようにちゃんとやってくれて、厚生労働省の認可も取れるという形で普通のヘルパー2級の資格を取れたんです。(統合失調症の人)20人ぐらい取りました。みんなでちゃんと勉強して。」

●働く上で気をつけていること

「安定というか気持ちがあんまり波風の立たないようにというか、体調を整えたりとかそういうことは自分で心がけているんですけど。いろいろ不満とか、不満だけじゃなくて自分に対しての不安とかそういうものも聞いてもらうようにしています。スタッフさん達だったり友達だったりにはき出すって言うんですか。守秘義務はちゃんと守っているんですけど。」

●食事の工夫

「食事は、デイナイトケアに通っているのでお昼も夜も出るんですね。食事のカロリーとかを計算してくれている病院の食事をそのまま食べられるので、すごくいいです。休みの日は自分でつくったりして、その割合がたぶんちょうど良いんだと思うんですけど。全部自分でやるとまた疲れちゃったりとか、負担になっちゃったりすると思うんですけど、ここで食べたり自分でつくったりするその割合が良いのかもしれないです。」

●睡眠

「時期的なものなのかもしれないですけど、やっぱり眠れる時と眠れない時が交互にきたりするんですけど。睡眠時間、先生に相談して。例えばすごく眠くて(午後)8時ぐらいに寝ちゃって(午前)3時に起きちゃいましたって、早朝覚醒だって騒いでいたときがあったんですけど、先生に相談したら、『まあ5時間以上寝ているから大丈夫だよ』って言われて、あ、そうかって。で『(午前)3時以降の過ごし方は自分で考えてね』と言われたり、そういう感じで…。

一応、御守り代わりに頓服扱いっていうかそんな感じで、眠れないときには飲みなさいって眠剤はもらっています。それはアモバンをもらっているんですけど。あんまり使わないですね。」

アモバン(ゾピクロン):睡眠薬

●福祉サービス

生活保護は受けているんですけど、その中で病院のデイケアに通ったりとかしています。手帳(精神障害者保健福祉手帳)も3級持っています。電車とかが、手帳とかで少し割引になると助かるなあというのはあるんですけど。バスは会社によってあるみたいなんですけど、電車はまったくない感じだと思うんですけど。

えぇと学校に行こうと思っていて、学校へ行くための学費をどうしようってなったときに、社会福祉協議会でいろんな生活福祉資金とかの枠で、それは低所得者(向けですが)、調べたりとかしたんですけど。私が、行こうと思った項目ではだめだったんですけど、相談に行ったら、社協の人が一緒になって調べてくれて、違う項目で“技能習得費”という項目があったらしくて、それで学校に行けそうかなっていう感じなんですけど。今、動いている最中で、まだ答えがなんとも出ていなくて…。

私は、精神保健福祉士(の資格)を取りたいなと思っていて。実務経験が4年経つと学校に行けるようになるので、4年頑張って専門学校に行って、1年7か月勉強して、でそのあと国家試験があるんですけど、それに合格すれば資格もらえるというので。ただ、なんだろう、1発で合格しようと思うとまた自分を追い込んじゃうので、自分の生活する上での目標みたいな感じに設定しておいて、まあ取れればいいなあっていう感じで、気長にやろうかなとは思っているんですけど。

(技能習得費は)借りる形ですね、やっぱり、返します。福祉のほうも、生保(生活保護)のままの自立に向けての可能性があるということで動いてくれているみたいで。生活費はなんとか自分で稼いで、例えば家賃分とかを国というかそういうところで保障してもらえたり、あと個々のその人によって、症状とか能力というかそういうのによって保障してくれるような制度があれば、精神科に通っていても仕事はみんな、短い時間で働ける人もいるので、そういうようなものをこれから国の上のほうの人達に考えてほしいなあと思うんですけど。」

生活保護:病気やけがで収入がない、もしくは収入が不十分なときに、最低限度の生活を保障する制度。年金やその他の経済支援で利用できものがあればそれを優先して利用し、それでも不足する分を生活保護で受給する。
精神障害者保健福祉手帳:2年ごとの更新が必要。更新時期の患者さんの状態に合わせて手帳の等級(1級、2級、3級)が決まる。生活保護の障害者加算や税金の優遇措置など、経済的な支援を受けられるようになるほか、自治体によって異なることがあるが、交通費、通信費などの負担を軽減できる。
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