「それで、初めて薬をいただいて飲むわけですけども。当時、薬を飲む前の状態というのは、いわゆる妄想だと思うんですけども、想像の中での現実でない現実に対して憤りとか興奮とかがあったと思います。ただ、薬を飲んだことによって、(症状は)多少和らいだなという印象はありました。
当時、初診の時は2粒、眠剤があったかどうかまでは、ちょっと記憶が曖昧ですが、朝昼晩2つ、薬を2・2・2。1つはレキソタン、あともう1つは憶えていなくて、2種類を飲むようにというお話でした。
ただ、それが解決になったかどうかについては、結局は、病気が治るかというと、いわゆる寛解(かんかい)という部分までには、その当時は行きませんでした。それはやっぱり仕事のストレスだとか、経済的なこと、家族のこと、いろんな要因もあって精神科に行ったから、希望が見えてきたかというと、そうは思えない状況だったかなと思います。」
レキソタン(ブロマゼパム):抗不安薬
寛解(かんかい):病気の症状が一時的または継続的に軽減・消失した状態、再発する可能性もあり、治癒(ちゆ)とは異なる。
「朝3昼3夜3、寝る前2。だから、1日11錠。実は、昼は、もう何年も前から飲んでいないです。一応、処方はされているんですが、飲んでいないです。薬は、実はもう何年も変わっていなくて。で、今、クリニックに行っても、ほとんど薬だけ出してもらうことが多くて…。薬の量に関してはそういう形で、ただ、昼は抜いていると。これはもう自分で決めました。それで何年も過ぎていて、特に飲まないと不安定になることもなかったので、そういうふうに自分でしちゃった。ドクターには内緒で抜いています。
(薬に対して)僕、無頓着なんですよ。たぶん抗精神病薬1つ1つあったと思うんですよね。あと抗不安薬みたいなものと睡眠導入剤と、ペースを維持させるものというようなもので。具体的な部分については、薬局で出してもらっている、一応薬のレジメみたいなものがありますけども、あんまり詳しく書いていないのね。薬局によっても違うと思うんですけど、僕が行っている薬局は出していないので、その範囲内の情報で言うと、あんまり深く、僕自身が把握していないというのと、ずっと飲んでいるから、なんだろう、あんまり薬に対してアグレッシブに、『あの薬がいい』とかね、『薬を変えてもらおう』とかそういう薬への関心がないから、きちんと答えられないという状況です。」
「ならないですね。思うところ、話がちょっと哲学的になっちゃうのかもしれないけど、絆とか、これはたぶん精神病の話というよりも人間そのものが、やっぱり必要とされたりとか、役に立っている実感とか、そういうものがないと、元気になれないように人間はできているんじゃないかと思っていて…。」