「今は、私が診察を受けている精神科の先生も内科の先生も若い先生で、明るくて、私のことを大事にしてくれますので、ありがたいと思っています。
もう古い話ですけど、最後の病院で、先生の診察を、勝手に患者に受けさせてくれなかったですね。『ちょっと先生に相談したいことがあるので、あのう』、と言って、診察室に黙って入って行って、(先生に)相談したことがあるんです、1回。そしたら看護長に怒られましてね。『お前2度とあんなことをするな。なんでそんな勝手に医者のところへ行くんだ』と。
それから、変な話ですけどね、長期の入院で、いろんな病院の中の仕事をやっていますよね。一番最後にやった仕事というのは、厨房における給食の手伝いなんですけども、朝5時半頃から9時頃まで、毎日、それこそ日曜も土曜も、休日も祭日も正月も何の休みもない、毎日、10年ぐらいやりました。院長が亡くなってからなんですけども、精神科の看護師さんが、『あんたもう病院の厨房で仕事するのをよしなさい』と言われたんですよ。病院のためにね、一銭もお金もらってないんだし。
ところが私にとってはもう10年以上やっていると、それが生活のリズムになっていて、自分を健康にさせてくれる励みになっていたんですね、その仕事が。生きがいになっているので、やらせてくださいと言ったんです。そしたらダメだっていうんですね。それで最後には医者のところまで話が行きまして。
で、最終的には、新しくみえた精神科の先生で副院長先生のところへ行って。『辰村さん、あなた今2階の病棟に住んでいて、炊事場へ毎朝行っているようだけども、4階の病棟が空いているので、もうあなた状態が良いから、4階の病棟に移ってくれませんか』と先生に言われたんです。それで『先生、移っても良いですけど、私、炊事場へ毎朝行くのやめませんよ』と言ったんです。そしたら、先生考えちゃってね。そうか、話は分かった。あなたね、もうこれからは退院のことを考えましょうよと言われて、結局そこで退院できたわけなんです。」