サイト内検索   

「妄想や幻聴がある場合には、それはもうなんとも病気なんですから、しょうがないですけども…、病状が良くなったら、やっぱり自分しか頼る人間はいないんだと。世の中の人達もみんな大変で、統合失調症の病気は、たしかに辛い病気ですけども、痛くもかゆくもないわけですよ。他の病気と比べて。病気の症状が軽くなったら、なるべく自分1人で生きていけるように。私だって生活保護を受けていますし、いろんな施設の職員の方に、あるいは今まで入院中の職員の方、先生方にお世話になっていますけども、ま、その感謝の気持ちを忘れちゃいけませんけども、なるべく人に頼らないように…。

そうですね、一番肝心なのは、『健全なる精神は健全なる肉体に宿る』と言いますから、自分の体を作るような気持ちで、スポーツなんかも、やられたら良いんじゃないかと思いますね。それから本を読むのも良いと思いますし。

これから、社会福祉施設がたくさんできてくると思いますけども、まあ、私もあんまり大きなこと言えないけども、なるべく自分に厳しく生きるようにするのが、自分にとってプラスになるんじゃないかと思いますね。」

「それはいろいろありますね、あります。いや、今は、少ないです。今はほとんどね、隣近所の人も誰も私のことを差別する人いませんし。

あのね、結局差別と言いますけどね、外側から差別されるより、自分自身が差別しちゃうんですよね。『ああ、俺はもう精神病の患者なんだから、どうせ、ちゃんとした生活はできないや、ちゃんとした会社で仕事ももらえないし、俺を相手にしてくれる女性もいないだろう』なんて思っていて。あのね、外で働いていて元気な時にね、まだ生きていた親戚の者が、縁談を持ってきてくれたりしても、俺が、もしもその女性と会って、精神病の病院にいたんだってしゃべれば、たぶん、だめだろうなと。そういう気持ちのほうが大きいので。今から思うとね、たぶん、私の当時の考え方間違っていなかったと思うんですけども。ま、それもしょうがないと思うけども、やっぱり恋愛や結婚や就職がね、胸を張ってできるような、そういうふうな患者でもあり、世の中にもなってもらえたら良いなと思いますね。」

「私が最後に入院していた病院の家族の中には、自分の子どもなのに、『お前はもう退院しなくても良いんだ、あの病院にいなさい。私が毎月1回、お前の好きなお菓子を持ってきてやるから』と（言う）。家族からそういうことを言われるとショックなんですよ、患者はね。それから全然面倒を見に来ないで病院の借金ばかり増えている患者もいましたね。そうかと思うと、ちょっと甘すぎるんじゃないかなと思う患者もいましたので、まあ、なるべく普通、私自身が一番希望しているのは、普通の生活ですね、普通人としてのね。それができれば、と思います。

ですから、私は、まあ、ろくに恋愛も結婚もしていませんので、それはやっぱりしょうがないと思っていますけども、これからは、恋愛・結婚・就職も、だんだん世の中良いほうにいってくれていると思いますので、前途に希望を失わないで、毎日の生活を積み上げていくと。だから、まず仕事が大事なんじゃないですか、人間は。仕事しないでいるほど不幸なことはないと思います。普通の人間として生きる、社会生活のためにはね。

結局、仕事して収入があっても、私の場合は…、生活保護のお金は、所得税なんですよね、普通の方の。所得税が生活保護になってくるわけで、その生活保護の所得税の部分をいくらかでもね、3分の1でもお返ししているつもりでおりますので、引かれてもしょうがないと思っています。」

「昔、私が入院した時代は、昔軍隊に行っていた人が、生き残りの人がたくさんいましてね。もう軍隊式で厳しい。それこそ号令をかけられるような、そういう時代だったものですから、上役の命令はもう絶対服従だと思っていたんですけど、これからだんだんそうじゃなくなってきていて、まあ、人間らしい生活が、われわれ患者にもできるようにお願いしたいですね。」