「はじめての受診の時は、憶えています。その時の先生は主治医にはならなかったのですが、初診で、『声が聞こえるんですけども』と言うと、いきなり、『精神分裂病だなぁ』というようなショッキングな病名を告げられたので、もう嫌になって、そこには1回きり行っただけで、行かなくなってしまったのです。
声が聞こえると言っただけで、そういう病名を患者に告知するという医者の態度があまりにも非常識だと思ったので、この先生に付いていきたいという気持ちは一瞬にしてなくなりましたね。
病名というのは、初診で、声が聞こえるという段階で、はっきり分かるものではないということは、あとから調べて分かってきたことなのですが、その応対が非常に不愉快だったので、その心療内科は1回しか行っていません。」
「そして病院を変わって、そこで人柄の良い先生に巡り合いました。その先生とは結構長い間、診察をしていただいて、良好な信頼関係が築けて、治療もうまくいったと思います。
投薬治療はもちろんありましたけれども、その先生はかなり性格がユーモラスで、穏やかな方で、診察を受けていても非常に話しやすかったですし、上から目線というようなことがなくて、けっこう対等な関係でお話をしてくださる方だったので、『ああ良い人だなぁ』と思って、この先生なら、ずっと付いていきたいなと思いました。
病院は、その2か所だけですね。はじめに訪れた心療内科と。」
「最初の頃は、セレネース、ロヒプノール、アキネトン…、たくさん飲んでいたと思います。全部はちょっと憶えていないですけれども。
たしかに急性期はコントロールするのは難しかったと思うのですが、はじめはかなり大量で、多剤の薬を投薬されていたんです。しかし体がかなりしんどくなってしまうので、1年後ぐらいですかね、私のほうから、『減薬してください』と先生にお伝えしたところ、『じゃあ、減らしていきましょう』という感じで、けっこう大胆に減らしていかれて、それでけっこう身体症状が楽になって、徐々に精神症状も治っていったという感じです。
身体症状のほうは、たぶん薬の副作用だと思います。体が硬直してしまって、動いていてもロボットのような動きしかできないとか、体に力が入らないとか、手が震えたりしてきれいな字が書けないとか歯磨きがしにくいとか、そういう症状が出ていました。」
セレネース(ハロペリドール):定型抗精神病薬
ロヒプノール(フルニトラゼパム):睡眠導入剤
アキネトン(ビペリデン塩酸塩):抗パーキンソン病薬