統合失調症と向き合う

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森 実恵さん
森 実恵さん
(もり みえ)
33歳の時(結婚し、子どもが2人)に幻覚などの症状が出たことで心療内科を受診し、その後、病院を変え精神科に通院。34歳の時に1回入院経験がある。病気がきっかけで本を出版することになり、現在数冊の著書がある。作家活動の他、講演を依頼されたり、週に1回、職業リハビリテーションセンターで講義をしている。病気が原因で離婚し、現在は母親、娘、妹と同居。
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5病気の認識について
Q.病気について医師からどのように説明されましたか

「1人目の心療内科医は、ちょっと性急過ぎるなぁと私は思ったのですが、2人目の主治医の先生は、病名は、はっきりはおっしゃらなくて、お伺いすると、『心因反応かなぁ』と言われたり、『まぁ、過緊張によるノイローゼのような症状かな』と言われたり、あるいは『幻覚症かもしれない』とおっしゃったり、病名がはっきり確定されないような状態がずっと続いていて…。で、『まぁ非定型精神病ということも考えられるねぇ』とおっしゃったり、いろんなことを言われました。

また別の先生からは、『発達障害がベースにあって…』とか、そういうことも言われたりして、いまだにはっきりと病名についてはお伺いしていない状態ですね。」

Q.病気について調べたことはありますか

「あります。発病して3か月ぐらい経った頃に、紀伊国屋(書店)に行って、精神医学のコーナーを自分で見て、医学書を片っ端から読み始めていたので、かなり自分では調べたと思います。

自分で、精神医学書を読んだ時に、幻聴とか幻視とか、まぁあらゆる幻覚があったので、自分では『これは統合失調症になったのだな』ということがはっきり分かっていたのです。ただ、一過性のもので、スーッと消えてしまう人も中にはいらっしゃるということなので、おそらく先生は、病名の告知というのはもっと何年か経過を見て、きっちり確定していくものだというふうに考えておられたのではないかなと思います。」

Q.自分の病気について知りたいことはありますか

「すごく医学の世界は日進月歩にどんどん変わっていますので、新たな治療法というのがどんどん出てきていると思いますので、新薬が出たとか、そういう情報はけっこう早くキャッチして、いろいろと新しい流れに付いていかなくてはという思いはあります。

主治医には、『今のお薬で、病状が長期間安定しているので、あなたの場合はあえて(薬を)変える必要はありませんね』と、いつも言われるのですが、一応、新薬が出た時には、必ず先生にはご相談しています。」

Q.病気のことで差別や偏見を感じたことはありますか

「それはありますねぇ。元気な時の友達に病名を告げた途端、電話をガシャンと切られたとか、病名を告げると、その時は、『大変だねぇ』と慰めの言葉もかけてくれるのですが、次の年から年賀状がこなくなるとか…。健康だった時の友人に、正直に打ち明けた結果、友情が途絶えてしまったということは、けっこうありました。

精神病に対する偏見や差別を取り除くのに一番大きな力になるのは、マスメデイアではないかなと思います。この頃、新聞報道とかもかなり変わってきてはいるのですが、例えばテレビドラマとか特別番組などで、精神病の人を主人公にしたドラマが大ヒットするとか、そういうことがあれば、画期的に変わるのではないかなと思います。」

Q.娘さんと病気について話すことはありますか

「(話を)しています。あまり気にしていないみたいですねえ。私達の世代は、けっこう昔の派手な事件報道とかで『精神病は怖い』というイメージがあるのですが、娘の世代はもうそれほどでもないみたいで、『心の病気なんて、今は芸能人でもみんななっている』という感じで、ごく当たり前の病気の1つとして、子どもは認識しているようです。社会全般としてどうなのかというのは疑問ですが、子どもはそういうことをあまり気にしない性格なのではないかなぁと思いますね。

社会全般として、(認識が)改まってきているかと言われたら、まだなかなか、これからかなぁという部分もあるのですが、まだ洗脳を受けていない若い世代に対して、中学、高校という早い時期から教育とかを施していけば、これからの世代は変えていけるのではないかと思います。」

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