統合失調症と向き合う

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小沢亜季さん
小沢亜季さん
(おざわ あき)
1976年(昭和51年)生まれ、36歳(収録時)。20代前半に眠れない、食べられないなどの症状が出たことで心療内科を受診するが、症状が悪化し、3年後に精神科を受診。発症前には夫が自死するという体験がある。現在は再婚し、収録直前、障害をオープンにして一般企業で1日4時間週5日の仕事に就いた。
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6いちばん辛かった時
Q.今まででいちばん辛かったのはいつですか

「やっぱり前の主人を亡くした時がいちばん辛かったですね。主人が亡くなって今年で15年になります。

乗り越えたというよりは、幸いなことに自分の父親も母親も健在で、まだ元気だったために、すぐ実家に寄せてもらうことができたので、その中で時間をかけてということ。

あと、家族のサポートももちろん必要だったのですが、自分としては、いつまでもそこに囚われることをなるべく避けて、もう違う世界へということで、就職もしましたし、そういう面でだんだん時間をかけて乗り越えていきました。」

Q.前のご主人が亡くなる前の状況をお聞きしてよろしいですか

「(夫が)会社に行けなくなったということです。朝、普通に家を出て、夜になると、残業したぐらいの時間に帰ってきていたのですが、実は、会社に行けてなくて…。会社のほうから、『2週間ぐらい出社していないけど、どうなってる?』と、こちらにお電話をいただいて、その時初めて主人が会社に行っていないことに私が気づいたものですから。

主人に訊いたのですが、結局、『もう会社には行かれない』と。ただ私のほうにそういうことが言えなかったので、一人で結局悩み苦しんでしまった部分があって…。会社に行けないことから、だんだん給与が入ってこないとか、生活が成り立たないということで、追い込まれてしまったというところはあると思います。

次の仕事を探すということで、職安に行ったり、面接したりということがあって、採用はされるのですが、現実に行く段階になると、やっぱり行けなくなってしまう。そういうことを何度か繰り返していました。」

Q.ご主人が亡くなったのはその状況からどれぐらい経ってからですか

「3か月ぐらいですね。主人のほうから、私の実家の近くに仕事を探したいからということで、私が一人で先に実家にいた段階で、ちょっと夫婦別々で生活していた時になるのですが。普通に、朝、『バイトに行きますよ』とメールを受けたのですが、その後連絡が取れなくなって、2日ぐらい経ってから、私が主人の実家に電話して、『連絡が取れないけど』ということで、探してもらった結果、自殺ということで亡くなっていたのですが。

持ち家でマンションを持っていたので、そこの部屋の中で、私は実際に立ち会っていないので詳しいことは分からないのですが、医者の診断結果だと、アルコールと大量の服薬による薬物中毒死ということで検案書が上がっていました。」

Q.亡くなる前に病院にはかからなかったのでしょうか

(病院には)かかれなかったですね。今、考えれば、たぶん『うつ病』だったのではないかなと思います。

それだけ、主人に対して相談するところもなかったし、周りもやっぱりその異変に、気づいているんだけど踏み込めなかった人もいるし、ほんとに気づかなかった人もいたので…。

私も、まだ若かったので人生経験もなかったですし、こういう場面の時にどうすればいいか全然分からなかったので、あとあと、『こうだったら良かったのに…』という反省というか思い返すことのほうが多いですね

私自身が、やっぱり早い段階で心療内科にかかれたこと、早い段階で精神科の門を叩けたことによって、自分が今、発病してから10年近くなる中で、少しずつ回復しているということを自分で思った時に、主人も同じ道を辿らせてあげれば、こういう結果にはならなかったかなというふうには思います。」

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