統合失調症と向き合う

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小沢亜季さん
小沢亜季さん
(おざわ あき)
1976年(昭和51年)生まれ、36歳(収録時)。20代前半に眠れない、食べられないなどの症状が出たことで心療内科を受診するが、症状が悪化し、3年後に精神科を受診。発症前には夫が自死するという体験がある。現在は再婚し、収録直前、障害をオープンにして一般企業で1日4時間週5日の仕事に就いた。
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14メッセージ
Q.ご家族へのメッセージをお願いします

「私がすごく助かったのは、早く両親が自分(私)の障害を受け入れてもらえたという部分です。特に自分にというわけではなかったのですが、早く市の関係とか地域のことにも、両親が敏感にいろんな情報を集めてくれたお陰で、自分もより早く社会に目を向けられるようになって、社会の中で動いていくということを経験できたのですが。

なかなかそういうふうに、自分の病気のことを受け入れてくれる家族がやっぱりまだまだ少なくて。家族の中で偏見を持っているということも多々見受けられるということも聞くので、そういう面では、そういう診断がおりた以上、自分もそうですが、家族の人も早く自分(当事者)の症状や病気のことに関して受け入れてもらえることがいちばん重要かなと思います。」

Q.ご両親が早めに情報を集めてくれた理由はあるのでしょうか

「私が病気になって、心療内科にかかっていた時は、両親に黙っていたんですね。ほんとに状態が悪くなって、眠れない、食べられないというのを、身近で見るようになってから、両親のほうも、なんかちょっとおかしいなということは気づいていたのですが、ちょうど自分の祖母(実は祖父)が寝たきりで、母親がその介護に当たっていた部分があって、どうしても、自分(私)のことを後回しにしてという流れの中で、何年か言えないままで来ました。

祖父が亡くなったのをきっかけに、初めて自分から母親に、『精神科にかかっているんだけど、やっぱり状態はあまり良くないので、入院も考えたいんだけど』といった時に、初めて親が、自分の子どもなんだけど、自分の子どもが病気で悪くなっていくところを止めてあげることができなかったということで、とても両親の中でも思うことがあって。やっぱり私以上に、陰で統合失調症の本を見つけると手にとってくれたりとかしていたみたいです。

私が最初に入院した時も、両親がほんとに代わる代わる、毎日のように来てくれたんですね。その中で、両親が精神(科)病棟を見て、閉鎖病棟で鍵がかけられるところが、やっぱり親の中ではとても辛かったということで、そういうことに目を向けてくれたことが、今の自分の中ではいちばん大きなことかなと思います。」

Q.同じ病を持つ方へのメッセージをお願いします

「自分の思っていることや不安に思っていることがあるんだったら、特に精神科でなくて近くのかかりつけの医者に相談することからでもいいから、誰かに自分の思い、辛い思いとか苦しい思いとかを、なるべく早く外に伝えることが必要かなと思います。」

Q.病気を受け入れるまでには時間がかかりますか

「私は、統合失調症と言われた時には、もう自分でその病気を、最初誰も分からなかったので、ほんとに『得体の知れないもの』から始まったのですが、自分の中で、自分はそういう病気なんだということを素直に認める。それに逆らわないということから始めました。

そして、だんだん知識を増やして、それを知っていく上で、社会生活から離れていってしまう人の話などを本などで読む機会が多くなっていって、引きこもりなどになっていくことにつながったのを見た時に、自分は、より早い段階で社会と接点をもつことに目標を置いて、日々、自分が良い状態であれ悪い状態であれ、なるべく世間と社会と関わりを持ちたいということは常に思っています。」

Q.医療者や医療体制などへのメッセージがあれば

「どうしても行政に関わると、行政の役割ということが大きくなって…。私達は、保健師さんにしてもなんにしても、自分のことを伝えるために利用しているのですが、どうしても受け手側は、“仕事”として取っていることが多くなるので、患者からのわがままなのかもしれないのですが、 “仕事”という概念をちょっと切り替えてもらって、病気を持っている人達が、より利用しやすい環境を整えていただけるとありがたいなと思います。」

Q.インタビューを受けてくれた理由を教えてください

「私が今まで関わってきた中で、社会と接点を持つことを、私が、最大のテーマとして持った時に、まだまだ統合失調症のことも、昔よりは知られるようになったのですが、どうしてもまだ理解されない。悩んでいる人がたくさんいるという中で、自分もいろんな経験を経て、少しずつやっぱり社会と接点をより深く持てるようになったという意味で、そういう場所に少しでも自分がこれから出ていって、『同じ統合失調症の中でも、こういう例があるんだよ』ということを、少しでも分かっていただける人が増えたらいいなと思って、こういう機会を作ってもらいました。」

Q.顔出し、実名で公表することに抵抗はありませんでしたか

「私の場合、それは特に感じなかったのですが。隠すことは簡単だと思うんですね。だけど、なるべくありのままの姿、良い時も悪い時も自分のそのまんまの姿が相手に伝わることで、相手も感じ取ってくれることが、フィルターをかけた時よりも受け取ってくれる方も大きいと思うので、大丈夫です。」

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