「2年前、1年前かな、八王子市の富士森公園というところで、福祉祭りというイベントがあって、そちらで『夢像』(作業所)のインストラクターから、こういうイベントがあるんだけど売り子になって、『夢うさぎ』(作業所)からエントリーで売り子になってみないかということでバックの売り子をしました。
(そのイベントは)15時にだいたい閉幕、閉会してしまうのですが、当時、西八王子に住んでいたので、このまま帰るのも思い出にならないなと思いまして。じゃあ、どこか見物しに行こうかなと思いまして、当時周りに住んでいた友だちも懐かしいなと思いまして、友だちいるかなと思いながら行っていたのですけども。もう日暮れになっていまして、疲れてぐったりしていたので。その頃は、薬を飲んだりして、リラックスできたりとかしたのですけども。
17時に “ゆうやけこやけ♪”が鳴ったんですね。そこで、『ああ、ここは10年経っても八王子のままなんだな』と思いまして。懐かしいなあ、じゃあどこ行こうかなと思っていたら、あ、あそこにクレープ屋「アン」があったなと思いまして、そちらへ向かったんですね。そしたら甘い香りに釣られて、『ああ、いい匂いだな』と思って。マスターいるかな、お邪魔しようかな、顔見知りで憶えているかなと思って向かったんです。
『あのう、何かお勧めありますか』とマスターにお伝えしたんですね。そうすると『君にはチョコバナナ生クリームがいいよ』と言われて、じゃあ、そちらを下さいと言って食べたらおいしかったんですね、とても。それを伝えたら、『あ、君、素直だね。なんか魅力的だからちょっと時間をくれないか、30分時間をくれ』と言われて、じゃあちょっとお話でもしようかな、記念に残るかなと思って一心でお話を聞かせていただきました。そしたら、明日から(で)もいいから「アン」に来てくれないかっていうことで、バイトの仕事を任されましたね。」
「いや、初めは知らなかったんですけども、やっぱり、どういう症状があるかというのをお伝えしたので。それは入ってすぐなのですけども。マスターも、5年前に右脳内出血をしてしまいまして、身体障害者なのですね。似たような障がいがあるということで、痛みの分かち合えるようないい職場だなと思って長続きしていますね、今も。」
「(僕は)クレープ生地を主に作っています。焼くのはなかなか…、でももう1年半経つのですけどもね。まあ、なかなか焼けないので焼く練習をしたいなとは思っています。
マスターが焼いてくれるんですね、その生地を。焼いた生地を調理台に持ってきて、それに生クリームを加えたり、食材を乗せたりして包んで僕がお客様に提供しています。お出ししています。」
クレープの生地作り |
焼かれたクレープに 具材を乗せてお客様へ |
「そうですね、やっぱり今も続くのですが、物覚えが悪いなとは思っていますね。それをなんとかして改善していこうと。まあ、『リハビリのつもりで働いてくれ』と(マスターから)言われているので、割と安心しながら働かせていただいています。
いろんなお客様に相手にしていただけるので(すが)、お客様に対する愛情が足りないとか、よく叱責を受けますね、マスターから。礼儀は、感謝だとか気配りだとか…。『かきくけこ』というのがあって。今、憶えているかな。“か”が感謝で、“き”が気配りで、“く”がなんだかな、 “く”? “こ”が向上心。“け”は謙虚。“く”は工夫? あ、工夫だ。それは「アン」で、マスターの口からお聞きしました。」