統合失調症と向き合う

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磯田 重行さん
磯田 重行さん
(いそだ しげゆき)
1969年生まれの46歳(取材時)。就職したばかりの24歳のときに発症し、精神科を受診する。27歳で再発し、32歳でピアスタッフとして働くまで家に引きこもる。40歳の時に現在の多機能事業所に勤務しはじめ、施設長として利用者のサポートをしている。ピアスタッフ協会ほか、いろいろな会の立ち上げに関わり、現在も当事者として活動している。
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6当事者であり管理者として
Q.施設長をしている事業所についてご紹介ください

「ここは、就労継続支援B型といって元の共同作業所で、作業所がB型に移ったというところで、就労の場というのが1つ。で、今年の3月からは生活訓練といって、簡単に一言で言えば福祉的なデイケアみたいなところなので、プログラムをやっています、いろいろ。訓練的な要素も入れながらですけど、訓練ばかりにならないようにというか、楽しい場所を提供するというところで、多機能事業所ということでやっています。

(ここから)直接就労はないけども、A型には行きます。そういう方はいらっしゃいます。」

就労継続支援事業所:一般企業等での就労が困難な人に、働く場を提供するとともに、知識および能力の向上のために必要な訓練を行う事業所で、A型とB型があり、A型は雇用型(雇用契約を交わす)、B型は非雇用型(雇用契約を交わさない)事業所のこと。

Q.当事者が施設長であることに対する利用者の反応はいかがですか

「どうなのでしょうね。あまりその話題にならないのですけど、もうみんな知っていることなので。僕が当事者で薬を飲んでいてということで、たまには、『よく薬を飲んでそんなに働いてるよね』という利用者さんもいますけど、特別それで何かということはないですね。

ただ、WRAPをやったりして自分の体験を話すのですね。今までの病気の経緯だったり元気になってきた過程を話すと、反応が違うなというのは(あります)。みなさんがどう思っているのか、(その)思いまでは分からないのだけど、『自分もそうなれるかも』みたいな、そういう感覚というのは持っているのかなというふうには思いますけどね。」

Q.当事者が精神保健福祉士として働くのは難しいと思いますか

「僕自身は、自分は精神保健福祉士なのだという思いはあまりないですね。自分は、支援者でありピアスタッフなのだという思いなので。まあ、おまけみたいなものだと思っていますので。精神保健福祉士はですね。

ただ、精神保健福祉士がどういう役割かと一言では言えないと思いますけど、資格を持って、自分の障害の経験を、病気の経験を活かしながら働くというのは、有りというか。もう、それしか残っていないのかなぁと思っていますけどね。もう今の、この福祉なり医療の、精神保健福祉士のこの業界の中で、それこそが新しいリカバリーを推進できる力だと僕は信じていますけどね。」

Q.現在の職場で雇用されるまでの経緯を教えてください

「普通にハローワークの求人を見て。たぶん、インターネットで調べたと思いますね。高校・大学はここの近くだったのですよ。で、こういう施設があるのかというので、WRAPの活動を中心にやっていたのですけど、WRAPだけではなかなか食べていけないというところで、精神保健福祉士の資格の枠で受けました。

その面接で僕は言いました。統合失調症ですということはですね。あまり憶えていないけど、普通に話をして。まあ、でも僕はその面接のあと、自分の病気のことを明かしたので、もう必ず落ちるだろうと、落とされるだろうと思って、『落ちた』と思っていたら、『採用ですよ』と言われてですね。正社員で最初から採用していただきました。それは5年前です。

ピアスタッフに関しては理解があると思う。で、僕以外にも別の施設の施設長はピアスタッフなので、二人いるのですよ、当事者の施設長が。うちの法人はですね。だからまあ、もちろん、仕事は任せられると思った人にしか任せないのでしょうけど、理解はあると思います。」

Q.施設長として留意していることは?

「施設長として心に留めていることは、もちろん利用者さんの回復だったりリカバリーをということなのだけど、僕はその前に、職員のリカバリーというか、職員が認められる体験をして、職員が元気にならないとそういう実践はできないと思っています。なので、僕の仕事は、職員を認めることが一番で、その次に利用者を認めることだと思っています。

だからほとんど僕は仕事上で、怒ることはほとんどないですし、認めるというかダメ出しもほとんどないですね。だいたい、口癖が『いいよー』とか『いいんじゃない』、まあ、いいですよということなのですけど。なんか提案してくれることはほとんどその通りにしてもらっています。

(ピアスタッフは)2名です。そうではない専門職もいます。資格のない人もいますけどね。」

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