統合失調症と向き合う

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山下 加奈子さん
山下 加奈子さん
(やました かなこ)
1968年生まれの47歳(収録時)。高校2年生(17歳)の時に体調を崩す。入院の経験は8回。40歳の時に統合失調症と告げられる。症状が安定したのは7〜8年前頃。いくつかの職種に就いていたが、8年前に地域活動支援センターI型のピアスタッフとなり、現在は(就労継続支援)B型作業所で週4日働いている。精神保健福祉士の資格取得を目指している。
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7症状の安定について
Q.症状が安定したのはいつ頃ですか

「やはり、病気をオープンにして働くというところで40歳ですね。それまではまあ30代、洋品店にいた時は、やはりクローズでというか、内緒にしていましたので、とってもきつくて。薬をトイレで飲んでいたり、そういうことがあったので。やはり安定したのは病気をオープンにして働くということで……。」

Q.地域活動支援センターI型で働くようになった経緯を教えてください

「もともと、ピアスタッフには興味があったのですが、なかなかまだ福岡でやっていなかったり、ある所もあるのですけれども。そういった時に、私、隣の区が居住地なので、隣の区の(地域活動支援)Ⅰ型センターが先に建っていて、そこに通っていたのですね。

で、『私ピアスタッフになりたいんですけど、なれませんかね?』と言ったら、『うちはちょっとやっていないけど、お隣の区に今度、新しくピアスタッフ採用でⅠ型センターができるから、今、面接を、ピアスタッフを募集していますよ、良かったら受けませんか』という情報をいただいて、それですぐやってみようと思って面接を受けて、ありがたく今につながるのですが。8年前ですかね。」

地域活動支援センター:地域で生活していくうえで生じる問題、相談などに対応する機関。ほかの機関とも連携しており、社会資源(福祉サービス)の紹介や住宅、職業、生活支援サービスなどの情報が得られる。障害者自立支援法に基づき2006年10月から制度化された。強化機能としてⅠ、Ⅱ、Ⅲ型があり、Ⅰ型は専門職員(精神保健福祉士等)を配置し、医療・福祉及び地域の社会基盤との連携強化のための調整、地域住民ボランティア育成、障害に対する理解促進を図るための普及啓発等の事業を実施する。なお、相談支援事業を併せて実施または委託を受けていることを要件とする。1日当たりの実利用人員は20名以上。

Q.実際にピアスタッフになってみて、いかがですか

「大変ですけど、必ず誰かが助けてくれるので、本当にありがたいなぁと思います。やはり、今までには味わったことのないようなというか、病気をした人で(なくて)は分からない気持ちとか。だけれども、ちゃんと当事者だけの集まりではなくて、きちんと一般職の方もいますし、若い人から年配の方までいる、いろんな人が集まれるコミュニティになっているのが、やはり一番いいなぁと思うのです。

私の場合、ここが(就労継続支援)B型作業所、今は生活訓練が入っていますけど、最初はB型作業所だけになるということで、こちらに異動がありました。」

Q.ピアスタッフとしての給金をお聞きしてもいいですか

「時給800円の7時間で5,600円の週4日ぐらいだったので、最初の頃はもっと少ないのです、無理をしてはいけないと言われて。最初から正社員でお願いしますと言ったのですけど、それはまだ無理ですと言われて。今20円上がりました。9年目で。週4日なので、月に、雇用(保険)とかも引いてもらって手取りで8万ぐらいですかね。非常勤です。」

Q.症状が悪化することはありますか

「(悪化)は、それほどないですね。もう普通に、ま、規則正しい生活を心がけるということと、いろんなことを溜め込まないでなるだけ重くならないようにすることですかね。」

Q.今まででいちばん辛かったのはどのような時でしたか

「2回目のA病院の、21歳の時、『私、幸せ過ぎて怖いんです』と言った時に病院に入院させられた。『させられた』とやはり思うのですけど、それがとっても辛かったですね。とても好きな人がいて、失恋して、やはりそれがいちばん辛かったですかね。」

Q.辛さを乗り越えるために大切なことは?

「時間も、時の流れの経つのも必要だと思うし、あとはやはり人との関係ね。必ず誰かが見守ってくれたり助けてくれたりというのがあるので、自分もまあ生きていこうと思うのですけどね。」

Q.病気になったことで生活スタイルはどのように変化しましたか

「やはりお金のことがいちばん。入院費とか治療費とかに莫大なものがかかってしまったことで、両親や兄を、いちばん大変な時期にしてしまった。(お金が)気になりますね。」

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