「あります。でも入院するまでに1年ぐらいかかっていると思うのですけれども。やはり親のほうもなかなか入院させたくなくて、『私が治す』みたいに頑張っているところも最初はありました。自分も最初に1回だけ軽く入院したのですけれども、それも3日ぐらいで、本当に入院が辛かったので、やはり入院はしたくないなぁという気持ちがあって、なかなか入院したくなかったのですけれども。最終的に保護入院という形で、お医者さんのほうから『入院してください』と言われて、数か月入院しました。
(全部で)3回入院しました。最初は、本当に数日だけ。それは任意入院で、『もう大変だからちょっと入院したい』と言ったのですけれど、してみたら入院は入院ですごく大変でした。その後保護入院を2回しました。
治療を受けるというよりは、単純に薬を飲んで寝るという、とにかく休息を取るという意味で入院したのです。で、徐々に、時間が経ってきて、そろそろ活動してもいいかなという頃に、主治医の先生が、作業療法という病院内のプログラムに参加させてくださって、週3回、入院の病棟から友達と一緒に作業療法に通って……。友達って入院している友達ですけれども。それで一緒に(病室に)帰ってきてという感じで、入院中には、結構友達と仲良くなったかなと思います。
(入院期間は)何か月かよく憶えていないのですけれども、数か月。」
医療保護入院:精神障害者で、入院を要すると精神保健指定医によって診断されたが、病状のため本人の同意が得られない場合、家族等(配偶者、親権者、扶養義務者・後見人・保佐人)の同意により、精神科病院の管理者は患者を精神科病院に入院させることができる制度。
任意入院:精神障害者本人に入院の必要性を説明し、同意を得る入院形態。同意が得られない場合に限り、家族などの同意による「医療保護入院」を検討する。
「全然良くなかったのですけれども、やはり、そろそろ退院したいなと自分が思って、それをお医者さんに伝えたら、19歳のお誕生日に、いい区切りだし、そろそろ退院しようかということで。入院してすぐ良くなるというものでもないと思うので、お医者さんも『数か月入院したら、まあそろそろ退院かな』と元々言っていたので、19歳の誕生日に退院したのです。
その時にお家に風船がいっぱいあったのがちょっと感動的でした。『ああ、風船が(を)飾ってくれてる〜』と思って、ちょっと嬉しかったです。
でもその後もなかなか落ち着かなくて。最終的に落ち着いたのは、グループホームに入ったのですけれども、そこからだんだん良くなってきたかなと思います。(その時の入・退院は)3回目です。
2回目は、実は入院している患者さんの顔というか、同じ方が両方(2回目と3回目)ともいらっしゃったので。入院して退院して2週間後ぐらいにはまた入院しているので。もともと病棟が閉鎖するということで退院することになったのです。でも病棟が閉鎖したあとも、やはり時期が早いかなということで、また新しい病棟に入院した形なので、実際はそんなに時期も開いていないですし、一緒に入院されている方もあまり変わらないという感じです。
その時の写真があるのですけど、もう本当に誰が見ても、具合が悪いんだなと分かりますね、やはり。自分で見ても、この時ちょっと疲れていたんだなと。やつれているというよりは、『ちょっと大丈夫かな?』と心配したくなってしまうというか、表情が暗いし、髪はボサボサだしといった感じで。
着るものも……、着るものどころではないですね、調子が悪い時は。学校は制服だったので、そんな(ことは)なかったのですけれども、家に帰って、何を着ているかも憶えていない感じです。だから高校1〜2年の時は、自分が何を着ていたかもまったく憶えていないです。」
「元々、親が初診の時にクリニックでお医者さんから言われていたと思うのですけれども。でも自分の中で、すごく病名を知りたいという気持ちがあって、お医者さんに質問してもなかなか答えてくれなくて。病名ではなくて症状についてとか、治し方については説明していただけるのですけど、病名をそのままハッキリ言ってくださらなかったので。それで今の総合病院に行って、そこで初診の時に、お医者さんから、統合失調症ですと言われて、その時になにか安心したというか。ずっと自分の中でモヤモヤしていたのが、『あ、そういう名前の病気なんだ』ということが分かって、だいぶ自分の中で腑に落ちたというか……。
最初はそんな(勉強しようという)気持ちになれなくて。とにかく、自分のことで精一杯だったのですけれども、だんだん、入院するようになって、退院したあとで、その病院がやっているプログラムに参加して。家族で参加できるのですけれども、半年ぐらいのクールで、統合失調症について、症状とかいろんなことについて勉強会みたいなものがあって、それに参加して勉強しました。
あとは、福祉関係の雑誌を購読するようになって、今は、毎月その雑誌を読んで、『ああ、なるほどあ』みたいな……。自分の症状もそうだけど、みんなも同じような症状を持っているのだなと分かって、だいぶ自分の中で対処しやすくなったなということはあります。」