統合失調症と向き合う

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笠原 健さん
笠原 健さん
(かさはら けん)
1977年(昭和52年)生まれの38歳(収録時)。26歳、精神科病院で作業療法士として働いていた時に症状が出現。その後、病院を退職し、現在は、入院している患者さんの退院準備プログラムの手伝いや精神疾患の啓発などピアサポーター活動を行い、アーティストとして絵や詩も書いている。
「詩人artistけんぼーの世界」はこちらからご覧ください→https://kenbo1219.jimdo.com/
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3入院
Q.初めての受診から3年目に入院されたそうですが

「同僚の看護師さんに勧められたというか。ちょっと有休もあまり取らずに働いている状況だったので、まあ職場の中で、一応、精神疾患になって薬を飲んでいるということは伝えながらデイケアで働いていたのですけど、そういった中で周りも、『1か月でもゆっくり休んでまた復帰すれば』と、勧めてくれたというか。

アルコール依存症の専門家の専門治療をしている病院に入院という……。それは、結局2か月で、僕の主治医とうまく合わなくて。その時に(僕が)よく訴えていたものが、『3つの穴があって、その3つの穴を埋めてください』とよく言っていたのは憶えているのですね。それの返しの先生の答えというのが、『あなたの3つの穴を私はどう埋めろと言うんですか?』ということを言われた時に、『いや、ここにいてもしょうがないのかな』と。だからその時は、やはり誰かにどうにかしてほしいというか。

それで、閉鎖病棟から開放病棟に移っていて、その時に、やはり精神科で働いている作業療法士が仲間でいたので、自分の病院ではなくて、開放病棟の中で携帯で連絡しながら転院先を探していて。それで、任意入院だったので間髪入れずに次の病院に移ったというか。上司というか、どこまで知られていたかは知らないのですけど、自分の病院に入院するのは……さすがに働いていて、患者さんもいたり、会っていると……、そういうこともあるのかもしれない。」

Q.転院した病院での入院期間は?

「そちら(新しい病院に)は、知らない間に4か月経っていました。普通の一般的な、そこにもアルコール依存症の方もおられるかもしれないですけど、名的には精神科というあれ(病院)ですけどね。総合病院ではないですね。

そこで、診断名がまた変わったのですよ。神経症性うつ病と言われて、それで、疾患名としてはないけど、『アダルトチルドレンだね、君は』と言われた。アルコール依存症の時に、AAというアルコールアノニマス12のステップの、何か1つ(例を)あげれば、1つのテーマでもって会話が進んでいって、その1つが、『自分の罪の棚卸しをしなさい』みたいな……。そういうことで行われた時も、僕自身が……僕はなんで人、罪の棚卸しをする(のかと)……。例えば家族を持っていて、アルコール依存症になりました。たくさんの方に家族・子どもを含め迷惑をかけました。罪の棚卸しをしなさいといったら言葉が出ると思うのですけど、僕は、別に家庭も持っていなかったし、『何をもって罪の棚卸し』とは、と。

自分的には……生い立ちの中で、自分のほうが傷を負ったという感覚があったから、何か違和感を感じていて。そのアルコールアノニマスのAAのミーティングの時に、司会進行というか、その方かな、家庭の育成歴とかを伝えた時に、『君はアダルトチルドレンだね』と言われたのですけど。」

Q.治療で印象に残っていることは?

「主治医は、お母さんというか家族を呼びなさい、お兄さんを呼びなさい、そういうことはたしかにありましたよ。で、ここに、体の心の奥に、僕が感覚でいつもだいたい表現するのですけど、膿が溜まっていって、その膿をシャベルカーで掻き出すかのような診察で、毎日泣いていて。

辛かったです。それで先生の診察というのは、1回の診察で点を作って、次の診察で点を作って、どんどん線にして、それで面にして、それで僕という人間はどういうものかという像を作り上げていっているような診察だなということは感じながら受けていたのですけど。」

Q.4か月の入院時の症状は?

「もう半端じゃなかった。40錠以上飲んでいたのですよ、そこの病院(に)移って。出された薬が10錠・10錠・10錠……、(合計)40錠以上。だいたい診察が終わったあとも、すごくかき乱されての、すごく不安定になっての、それでまた頓服を飲んでの……、あれで10分も歩けなくなっていたというか。

病棟に診察室があって、それで先生が診察室に来ていて、部屋ごとに呼ばれて行くという感じだったのですけど。

その頃は僕、そこまで考える余裕というか、こういう症状が出るからこういう薬がほしいですとか、今こういう症状が出ているから先生がこういう薬を出しているんだなとか、それに対して何かを言うとかでもなくて、ただただ辛いことを言いたいというか、聞いてほしいというか、どうにかしてほしいというか、そういう偏りがあったとは思うのですけど。」

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